この記事は、薬剤師や薬局個別指導、OTC医薬品など、従来の記事とは全く無関係です。
なんかつい書いてみたくなって、昔やってた雑記ブログの勢いで書いてしまいました。
有益な情報は一切ありません。
なにとぞご了承ください。
結論から書くと、
「うんこうんこ」と歌っているように聞こえたあの曲は、
CANES(堀内孝雄&ケインズ)の美しさはエナジーです。
歌詞に「うんこ」は一切出てきません。
ただし、状況とタイミング次第で、人間の耳は驚くほどどうしようもない変換をします。
これは、昭和の山道にあったドライブインのトイレで、
おしゃれなBGMが
「うんこうんこ」に聞こえてしまった、
そのどうでもいい記憶の話です。
そしてその曲に、数十年ぶりに再会できた話です。
小学校高学年のころだったと思う。
両親の車で、わりと遠くまでドライブに出かけた。
山道をくねくねと進む、あの感じ。
今ほど高速道路も整っていなくて、途中で止まれる場所といえば、ところどころに点在する昭和の雰囲気漂うドライブインくらいしかなかった時代だ。
その山道で、本当に突然、腹痛に襲われた。
予兆はない。
心の準備もない。
ただ、「あ、これはまずい」という確信だけがあった。
我慢すればいける、という雑な希望は、カーブを一つ曲がるごとに削られていき、やがて完全に消えた。
幸いにも、道の途中にドライブインが現れた。
看板は少し色あせていて、レストランなのか、お土産屋なのか、主役がよくわからない、あの感じ。
車が止まると同時に、
「トイレ!」とだけ言って、
僕は走った。
トイレの個室に駆け込み、うずくまりながら用を足していると、天井のスピーカーからやけにおしゃれな音楽が流れてきた。
ピアノなのか、シンセなのか、とにかく都会的で、「大人の世界」を感じさせるBGMだった気がする。
こんな山道の、こんな昭和のドライブインの、しかも今この瞬間、
自分はうんこをしている。
せっかくのおしゃれな音楽なのに、なんだか申し訳ない気分になった。
音楽は悪くない。
むしろ、いい。
それを聴いている自分の状況だけが、どう考えても場違いだった。
「すみません……」
と、誰にともなく心の中で謝る。
その直後、腹痛が第二波としてぶり返した。
思わずおなかを押さえた、そのタイミングで、BGMがサビに入った。
急に情熱的になり、ボーカルが熱唱し始める。
「愛であなたを壊してしまいたい〜」
……いや、
今それを言われても困る。
こちらは壊されるどころか、すでに内部が崩壊しかけている。
歌はさらに盛り上がり、愛だの、情熱だの、永遠だのを全力で語り続てた気がする。
大人の世界だ。
一方こちらは、
個室で、
静かに、
必死に、
うんこをしている。
小学生男子の世界だ。
世界がまったく噛み合っていなかった。
「こんな大事なサビの部分で、 自分がやっていることがこれで、本当になんだかすみません……」
謝罪の対象が歌手なのか、作曲家なのか、それとも音楽という概念そのものなのか、自分でもよくわからなかった。
やがてクライマックスが過ぎ、歌は落ち着いた雰囲気に戻った。
……はずだった。
なのに、なぜか。
そのおしゃれな歌が、僕の耳の中では、はっきりとこう聞こえ始めた。
うんこ、うんこ、うんこ……
しかも一度ではない。
妙にリズムよく、何度も、何度も。
うんこ、うんこ、うんこ……
情熱的ななコード進行に乗せて、うんこうんこうんこと、連呼している。
完全に、音楽が壊れていた。
いや、壊れたのは音楽ではなく、こちらの感性だったのか?
個室の中で、僕は必死で笑うのをこらえた。
声を出したら負けだ。
ここで吹き出したら、すべてが台無しになる気がした。
でも、
「うんこ、うんこ、うんこ……」
は、容赦なく続く。
思わず、吹き出しそうになった。
その後、何事もなかったような顔でトイレを出て、家族のドライブは続いた。
もちろん親に聞くこともなく・・・。
あの歌は何だったんだろう・・・。
あの歌のタイトルも、誰が歌っていたのかも、長いあいだ、疑問のまま、脳みその端っこにいたのだろう。
ところがある日、ふと急に、その曲が気になった。
「うんこ うんこ 曲」
「ドライブイン うんこ 曲」
「おしゃれな歌 うんこうんこ」
「愛であなたを壊してしまいたい うんこ」
何なんだよこの検索履歴(笑)
思いつく限りのキーワードで、
ネットを調べまくった。
艱難辛苦の末、やっと見つけることができた。
曲名は、美しさはエナジー。
しかも、
YouTubeまであった。
再生してみると、記憶は一気に蘇る。
おしゃれだ。
ちゃんとおしゃれだ。
あの時代の、少し背伸びした都会の匂いがする。
僕の記憶は間違っていなかった。
きっとこの感じだ!
Aメロからは予想できない曲の展開なのに、「愛であなたを壊してしまいたい」に続きそうなのが直感で分かった。
……そして。
サビに突入。
愛で愛で愛で、愛であなたを壊してしまいたい~と熱唱が始まった。
きたきた!(何が?)
この感じだ。
そして間奏に入ると、
「うんこ うんこ うんこ・・・・」
ちゃんと言っている!!
空耳?のレベルを超えている。
今までのおしゃれな雰囲気を一気にぶち壊すように
「うんこうんこうんこ」
が混ざってくる。
もうダメだった。
情熱的なサビも、丁寧なアレンジも、
すべてを壊す破壊力。
そして僕だけには、昭和風のドライブインの個室が、勝手に脳内再生される。
音楽は記憶と結びつく、とはよく言う。
でも、
なぜそれが偶然にもトイレだったのか。
なぜそれが、人生で一番どうでもいい瞬間だったのか。
どうでもいいにもかかわらず、一生消えない記憶として定着し、数十年間脳内で眠り続けていたにも関わらず突然覚醒したことも謎だ。
ただ一つ確かなのは、この曲は今もなお、僕の中で
小学生のころ親といったドライブイン(どこにあるかはもうわからない)のトイレの個室を思い出させる。
それだけだ。
たぶんあれは、音楽が悪かったわけでも、トイレが悪かったわけでもない。
ただ、タイミングが最悪で、最高だった
それだけの話である。
そして、改めて聴いてみても、(間奏以外は)アルバムの中の1曲にもかかわらず普通にいい曲でした。
以上をもって、2025年を振り返る記事にしたいと思います。




















