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以前の記事で、某SNSで話題になった「薬は飲むほど病気になる」系のポストと、アメリカのケネディさん(※反ワクチンでめちゃ儲けてる方)との類似性について書いたんだけど──
今回はもうちょっと視点をズラして、日本においてどうして「薬って悪いもの」「ワクチンは危ない」って話が広まりやすいのか?について掘り下げてみる。
日本で“薬や医療が信用されなくなる”理由、けっこう根深いぞ
① 嫌な医者に当たったこと、あるでしょ?
これ、わりとあるある。
- 話をちゃんと聞いてくれない医者
- すぐに薬を出して終わりな医者
- 症状をうまく伝えられなくて、怒られたような気分になった人
- そうして出された薬で副作用が発生する
そんな“医療で傷ついた経験”が、後々の「薬=悪」という信念に変わっていくケース、めちゃ多い。
しかもそれ、何年経っても忘れられないタイプの感情なんだよね…。
↑ このセリフ、薬局でよく聞くやつ。
② 薬、出しすぎ問題
日本って、保険制度がしっかりしてるぶん、病院に行きやすい。
でも逆に「風邪でも何でも薬がバンバン出る」っていう環境が、“薬漬け”の不信を生んでるんだよね。
特に高齢者は「5種類以上の薬を毎日飲んでる」とかザラ。
薬が出れば薬局も儲かるんだし、病院とグルじゃね?
こうして病院も薬局も嫌いになってくる。
そこに「自然に治す力が大事」みたいな発信が刺さっちゃうと、「あれ?今までの薬、必要だったの?」と疑い出す。
これは当然っちゃ当然。
③ “ナチュラル信仰”と相性がいい
「自然に治したい」
「本来の体の力を引き出す」
──こういう価値観って、悪くないよ。
むしろ理想だよ。
でも、そこに「だから薬はいらない」「ワクチンは毒」みたいな極論が混ざると、話が変わってくる。
インフルエンサーが「私は薬に頼らずに子どもを育ててます!」って言うと、感情的に刺さる。
インフルエンサーが「薬を服用させたら子どもの発達障害が悪化!」って言うと、感情的に刺さる。
たとえそれが根拠レスであっても。
④ 「薬は効かないって自分で気づいた」タイプの声が強い
医療や薬を信じてたけど、「薬をやめてから体調が良くなった気がする」って人、実はけっこういる。
そしてその「実感」って、科学よりも説得力が強い。
だって“自分の身体で体験したこと”だから。
でもそれ、処方が悪くて副作用が減っただけとか、時間経過で治っただけの可能性もあるからね。
くすりが悪いんじゃなくて使い方が悪かった可能性が大。
でも人間、そういう体験を他人に話したくなるし、「あなただけじゃないよ」って言ってもらえると安心するんだよ。
そこでSNSが“共感の場”として大活躍しちゃう。
⑤ 「先生のくせに儲けすぎ」問題
これは完全に感情論。でも大事な視点。
医者がいい車乗ってる
開業医が豪邸に住んでる
製薬会社の営業が高級腕時計つけてる
──なんかムカつく
こういう感情、持ったことある人、正直いるよね?
で、ちょっとでも不誠実に見える医療者がいたら、「金のために薬出してるんじゃないの?」という疑念が出てくる。
この感情が「反医療アカウント」に共感を与える燃料になってたりする。
だから日本では、“やさしい”反医療が支持される
アメリカみたいに「マスクは自由の侵害だ!」みたいなゴリゴリの主張じゃなくて、
日本はもっと静かで、ささやかで、じんわりと──
薬はなるべく使わないほうがいいよ
ワクチンも必要な人だけでいいよね
自分の体を信じようよ
……って感じの“やさしいトーン”で広まるのが特徴。
でも、これがいちばん怖い。だって誰も否定しづらいから。
「敵が味方になったとき、最強になる」理論
反ワクチン・反医療の人たちが信じているのは、「感情的に寄り添ってくれる人」だ。
完璧な情報より、「ちょっと共感できる人」
バリバリの専門家より、「かつて悩んだことのある専門家」
こういう存在が、いちばん強い。
医療不信の人たちにとっての「敵」とは?
薬を出しまくる薬局
手術やワクチンを強く推す医者
上から目線で「エビデンス!エビデンス!」と言ってくる人たち
→ つまり、「自分の不安や疑問を否定してくる存在」です。
でもその“敵”が、こう言ってきたら?
「薬は万能じゃないよ。むしろ出しすぎは問題。」
「副作用でつらいなら、一緒に考えようか?」
「自然に治る力も大事だよね」
──もう、びっくりするくらい心の扉がガバッと開く。
反医療の人から見れば、「薬剤師」「医者」って敵なわけよ。
でも、その敵が突然「あなたの気持ち、わかりますよ」って言ってきたら?
🎯 一発KOです。
これ、心理学で言う「ギャップ効果」。
「裏切りの味方」は、最強の信頼を生む存在になる。
この「味方化戦略」は、信頼形成で最強のカード
人は「自分を否定してきた相手」に認められることで、強烈な報酬を感じる。
医療に不信を抱く人ほど、「医者・薬剤師は敵だ」と思い込んでるからこそ、
その“敵”に共感されると、一気に味方として受け入れる。
だから、医療従事者が反医療のコメントを出すと、特定の層には刺さりまくるということ。
ブログやSNS発信でこれを活かすと…
たとえば医師がこんなふうに言うとします:
「僕も昔は、風邪のたびに薬出してました。
でもある患者さんに“薬で余計に体調崩した”って言われて、正直ショックだった。
そこからは“本当に必要な薬ってなんだろう”って考えるようになりました。」
たとえば薬剤師がこんなふうに言うとします:
「たくさん薬を飲んでるおじいちゃん。体調が悪くなるたびに薬が追加されて、そうするとさらに体調が悪くなってね。」
「薬剤師の仕事って何なんだろうって思ったんですよ」
──こういう“自分の変化”や“共感の瞬間”を出すことで、
「この人、わかってくれるかも」という信頼が生まれるんです。
味方になった元・敵は、最強のインフルエンサー
薬や医療に疑念を抱く人を動かせるのは、「エビデンスで殴ってくる専門家」じゃなくて、
かつて“敵の側”にいたけど、今は自分の隣に立ってくれる存在です。
その変化こそが、
「やっぱこの人は信じられるかも」という突破口になります。
「昨日の敵は今日の友達」は、ポケモン世代に刺さる(笑)
「反医療」は、科学の話じゃない。感情の話だ。
人は、「理屈」で納得するんじゃなく、「体験」と「共感」で信じる。
薬やワクチンを否定する人たちが一定数いるのは、情報の正確性の問題だけじゃない。
✔︎ 医療で嫌な思いをした
✔︎ 薬をやめたら元気になった気がする
✔︎ 医者は金儲けしてるのに信用できない
✔︎ 自然な暮らしの方が“良さそう”
そんな感情が、静かに社会を動かしてる。
この空気に気づかず、「科学的に正しいから従え」ってだけで説得しようとしても、たぶん何も響かない。
だから、情報の発信をする側は、“正しさ”より“納得感”をどう作るかが問われてる。
薬剤師や医療従事者の発信も、もっと人間的に、もっと共感のあるものにしていかないと──
そうじゃないと、「薬を飲むと病気になる」と言うアカウントの方が、信じてもらえてしまう時代なのかもしれない。