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登録販売者の神対応シリーズ② 「風邪薬飲んだら、急に視界が暗くなって…」

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ある日の午後。
レジカウンターに、ちょっと慌てた様子のおばあちゃんがやって来ました。

「ねぇ、この前ここで買った風邪薬なんだけど…飲んだら視界が暗くなっちゃって」

症状は服用から数時間後に発症

まるで部屋の照明を落としたように視界の端が欠け、物の輪郭がぼやけて見える

そんな状態だったそうです。

登録販売者ちゃんの脳内で、瞬時にピンと来るワード

「緑内障」

急性閉塞隅角緑内障って?

緑内障には大きく分けて「開放隅角型」と「閉塞隅角型」があります。

今回のように風邪薬や鼻炎薬の抗コリン作用成分(例:ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど)で問題になるのは、主に急性閉塞隅角緑内障です。

  • 目の奥には「隅角(ぐうかく)」という房水(目の中の水)の出口があります。

  • 閉塞型ではこの出口がもともと狭く、薬の作用で瞳孔が開く(散瞳)とさらに塞がり、房水が急にたまって眼圧が急上昇します。

  • その結果、視界が暗くなる、光がにじんで見える(虹視)、激しい目の痛み、頭痛、吐き気などが出ます。

  • 放置すると数日で失明の危険があるため、即時の眼科治療が必要です。

市販薬で失明なんて、怖ーい

最近は健診や眼科受診で早期発見されることが多く、閉塞型のまま放置されるケースは少ないですが、「自分は緑内障」とは知っていても型までは把握していない人は意外と多く、潜在的リスクは残っています。

そして、眼科の受診をしていないため、そもそも緑内障だということに気づいていないこともあります。

聞き込みスタート

「普段、目の病気はありませんか?」

おばあちゃん、あっさりと答えます。

「昔から健康で、ここ何十年も病院や健康診断なんてやってないよ!」

(やっぱり…!)と内心確信する登録販売者ちゃん。

風邪薬のパッケージを確認すると、その風邪薬には抗コリン成分が含まれていました。

→ 閉塞型では、この成分が眼圧上昇の引き金になります。

危険信号と即対応

登録販売者ちゃんは即座に説明します。

「この成分は緑内障の中でも“閉塞型”の方には注意が必要なんです。

眼圧が上がって視野が狭くなることがあるので、今の症状はすぐに眼科を受診してください」

緑内障かもしれませんよ!!

おばあちゃんは驚いた顔で頷き、その足で眼科へ。

後日、

「あの時言われなかったら、しばらく放っておくところだったよ」
と感謝されました。

このケースの教訓

  • 緑内障は型の確認が重要(開放型か閉塞型か)。

  • 不明な場合や症状がある場合は抗コリン成分を避ける。

  • 「視界が暗くなる」「光がにじむ」「目の痛み」は即受診勧告。

今回も登録販売者ちゃんの、たった一言の聞き込みが視力の危機を救いました。

薬の知識と会話スキルがかけ合わさると、見えない危険を防ぐ力になります

まさに現場の神対応。

登録販売者活躍シリーズ第2弾
この件が無ければ、緑内障だと知らずに視力を失ってたかもしれないと思うと、怖いことだけど病院に行くきっかけとなってよかったですね。

第一弾はこちら

心臓病?気にせず風邪薬のんでた爺さん編~登録販売者大活躍シリーズ①