2025年。
S&P500は6,700台という高値圏、ドル円は大きく行き来し、「米国株バブルか否か」という論争が絶えない。
私は夏以降の上昇相場を、キャッシュ9割のまま見送った。
それは“失敗”ではなく、次に備えるための“間”だったと思う。
自分の投資戦略をもう一度ゼロから組み直してみた。
ここには、その整理と気づきを残しておく。
1. 米国株比率を下げるという決断
世界における米国株の立ち位置。
世界のGDPに占める米国の比率は26%
しかしACWIにおける米国株の比率は64%
PERは28倍と、歴史上の危険水準に近い
マグニフィセント7がS&P500の35%を占め、偏りが極端
AIブームはバブルではなく「今回は違う」は、もっとも危険な言葉。
今から米国株に乗り遅れる不安より、“長期リターンが見込める価格で買うこと”のほうが、私には大切だ。
2. キャッシュ比率9割──今は守りのターン
2025年夏、私はほぼ現金のまま過ごした。
結果だけ見れば「上昇を逃した」。
だがマクロを見ると、この選択は十分に正当化できる。
雇用統計は失速
金利は利下げサイクルへ(景気後退を見越した)
トランプ関税による景気後退が市場のメインシナリオへ
米国株は割高感が限界
次に来る調整に備えた“待機”だったと考える。
3. 来年から、投資の重心は「グローバルサウス」へ
米国株からの資金シフトが起こるとすれば、これまで休養期間が長かった、
バングラデシュ
パキスタン
インド
ラテンアメリカ(メキシコ、チリ、コロンビア、アルゼンチン)
という“インド亜大陸+ラテン”の巨大人口圏だ。
これらの国々には共通点がある。
人口動態が若い
都市化の伸びしろが大きい
低金利サイクルへ向かう
先進国より成長率が高い
バリュエーションが魅力的
米国株のような“成熟市場の高PER”ではなく、成長×割安の組み合わせがここにある。
4. コアは VXUS──米国以外の全世界株式
今後景気後退、世界株安、円高という状況が一気に進めば、そこを買い場とすればよい。
だがしかしそこまで簡単に買い場がわかるとは思えない。
調整局面か底入れかわからない場合では、米国株の比率が大きいVTIや、VT、SPXなどはリスクが大きいと考えられます。
VTI(米国全体)ではなくVXUS(米国除く全世界株)をコアとすることで、次を狙う。
米国株バブルの影響を下げられる
欧州・アジア・新興国に自然に分散できる
長期で米国以外が見直される可能性が高い
バリュー要素が効く
「米国を避ける」のではなく、“米国に依存しない”形で世界に投資する。
5. サテライトは資源株+ラテン金融+高成長テーマ
ここからは、自分が読み返しやすいように銘柄をジャンル別に整理しておく。
■【銅・鉄鉱石】
●BHP / リオ・ティント(RIO) / サザン・カッパー(SCCO)
銅・鉄鉱石は「人口×都市化×EV」で構造的に需要が増える
増産が難しく、長期的に需給がタイト
SCCOは可採年数70年以上 & コスト最安
BHPは豪州×チリ×アルゼンチンで政治リスク分散
RIOはリチウムまで含めた“エネルギー転換オールスター”
コモディティは景気敏感だが、長期需要の裏付けは強い。
■【石油】
●ビスタ・エナジー(VIST)
世界で最もローコストなシェール
EBITDAマージン66%
生産量は今も拡大中
原油はドル建てで売れるため、アルゼンチンペソのリスクは限定的
資源株の中でも“成長する石油株”という珍しい存在。
■【銀行】
●BBVA(スペイン×メキシコ)
●CIB(コロンビア)
ROTE 19〜20%台は非常に高い
金利高止まり→利下げ局面でスプレッドが改善
不良債権比率も低め
中南米は「人口・消費・クレジット拡大」の三拍子
新興国の銀行は、株ではなく“成長する経済そのもの”に投資する感覚。
■【航空】
●グルーポ・アエロメヒコ(AERO)
メキシコの中産階級拡大の恩恵を受ける
米国路線に強い
ただし航空は資本集約&景気敏感のため小さめのポジションで良い
6. ポートフォリオの構成案(自分用メモ)
今の私が目指すのは、以下の組み合わせ。
■コア(安定・世界分散)
米国株が調整、底入れをするまでは、
VXUS:50〜70%
■サテライト(高リターン・高ボラティリティ)
●資源株:20〜30%
BHP
RIO
SCCO
VIST
●ラテン金融:5〜10%
BBVA
CIB
●航空:0〜3%
AERO
7. 買いタイミング──私の条件メモ
米国株が下落し、世界株が連れ安になり、円が強くなったとき。
私が想定する“買い場シグナル”は次のとおり:
米株が25〜30%下落
VIXが30超
10年債利回り3%付近
ドル円が125〜132円
このうち2つ揃えば買い始め、3つ揃えば本格的に買う。
焦らない。
待つことも投資だと、2025年の私は学んだ。
8. まとめ:これが“私の戦略”
米国株バブルの過剰集中から距離を置く
世界は次の成長段階に入る
コアはVXUSで世界へ
サテライトで資源・ラテン金融という“成長エンジン”を取り込む
買い場は必ず来る
今はキャッシュが武器になるフェーズ
2025年、私は「待つ投資」を選んだ。
次に動くときが、必ず来る。
2025年末のS&P500のターゲットは5500
2025年末のドル円は128円
2025年末の10年債利回りは3.9%
2025年末のフェデラルファンズ・レートは3.50%
2025年末の失業率は4.5%

2025年末の消費者物価指数は2.7%
2025年末のGDPは+0.5%
2025.11.16



















