ドラッグストアの鉄売り場に立っていると、たまに“無茶ぶり”が飛んできます。
お客さん、こう言うんです。
「先生にね、“病院で鉄剤飲むほどじゃないから、ドラッグストアで適当に鉄とかサプリ買って飲んで”って言われてきました」
……いや先生。
“適当に”って、こっちにパス出すんですか。
こっちは今、第一鉄・第二鉄・ヘム鉄・非ヘム鉄・サプリ・医薬品・ミネラルバランス・過剰摂取リスクという“鉄のフルコース”を背負って立ってるんですよ。
しかも正直な話、
医師がドラッグストアの鉄売り場に並んでいる商品ラインナップを把握していることは、ほぼありません。
それを知っているのは、この売り場に立っているあなたです。
だから今日も、
「とりあえず鉄って書いてあるやつでいいですか?」
という、ざっくりしすぎた質問が、こちらに投げられます。
でもここで、“はい、これです”と手渡すだけでなく、登録販売者の「専門家」の専門性を生かしましょう。
この先は、
薬剤師・登録販売者が“鉄剤、サプリの使い分けで困らない”ための実戦解説。
第一鉄と第二鉄、何が違うのか
医薬品とサプリ、どこで線を引くのか
ヘム鉄のヘムって一体何なのか
そして、なぜワカサプリは“サプリの上位モデル”として扱われるのか
売り場で説明できるレベルまで、噛み砕いていきます。
ドラッグストアや薬局では、鉄剤は鉄剤、鉄サプリは鉄サプリで、離れた別の位置に陳列されています。
患者さんの印象でどちらの棚に案内するのか?
「貧血って言われたから、とにかく鉄を」派
「体にやさしいやつがいい」派
どちらも間違いではありません。
ただし、“鉄にも種類がある”ことは、あまり深く考えられていません。
まず結論から
| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| 医師から「鉄欠乏性貧血」に近いと診断された | 医薬品の鉄剤 |
| 疲れやすい・立ちくらみ予防・長期ケア | ヘム鉄サプリ |
そして、もう一歩踏み込むと、医薬品の鉄剤の中にも「第一鉄」と「第二鉄」という違いがあります。
第一鉄と第二鉄の違いとは?
鉄は、体の中では「第一鉄(Fe²⁺)」の形でしか吸収されません。
ここが最大のポイントです。
なぜ2+で第一なのかというのは高校の無機化学の勉強なので割愛します。
とりあえず吸収第一とでもゆる~く覚えましょう。
第一鉄(Fe²⁺)
そのまま腸から吸収される形
吸収が速い
効きが強い
その分、胃腸への刺激も強い
第二鉄(Fe³⁺)
そのままでは吸収されない
腸の表面で第一鉄に“変換されてから”吸収される
吸収は穏やか
胃への負担は比較的少なめ
ざっくり言うと
第一鉄=即戦力
第二鉄=準備が必要な鉄
医薬品の鉄剤は“治療用” 第一鉄 第二鉄
この3品、現場では“ガチ勢ゾーン”です。
マスチゲン(主に第二鉄系)
ファイチ(第二鉄系)
エミネトン(第一鉄系)
これらはすべて非ヘム鉄で、
第一鉄タイプは「早く効かせる設計」
第二鉄タイプは「胃にやさしく続ける設計」
という思想で作られています。
医薬品鉄剤のメリット
ヘモグロビンを短期間で上げたいときに強い
1錠あたり〇〇mg配合などと明記されており、確実に服用できる
医薬品鉄剤のデメリット
悪心、便秘、腹痛、黒色便など
価格面や副作用で“続かない人”が多い
だからこそ、
医薬品の鉄剤は“短期集中型”が基本
という位置づけになります。
ヘム鉄と非ヘム鉄の違い

ここで、サプリの話につながります。
非ヘム鉄(医薬品の第一鉄、第二鉄)
医薬品の第一鉄、第二鉄は、
- 「むき出しの鉄」
- 吸収には、胃酸、ビタミンCの影響を受ける
- 食事内容の影響を受けることがある
ヘム鉄
肉や魚に含まれる鉄と同じ形
“カプセルに包まれた鉄”
専用ルートで吸収される
食事や胃酸の影響をほとんど受けない
非ヘム鉄・ヘム鉄:吸収の特徴
| 種類 | 吸収の特徴 |
|---|---|
| 第一鉄(非ヘム) | 速いが刺激が強い |
| 第二鉄(非ヘム) | 穏やかだが効きも穏やか |
| ヘム鉄 | 穏やかで安定して吸収されるが、鉄分の多い食品くらいの効果 |
サプリのヘム鉄は体調の“調整用”
ヘム鉄の最大の価値は、
「毎日、長く続けられる」こと
治療ではなく、
体調管理
鉄不足体質の調整
貧血治療終了後のメンテナンス
このポジションに向いています。
3つのヘム鉄サプリをさらに接客向けに分類
① DHC「ヘム鉄」
エントリーモデル
シンプル
安価
向いている人
👉「まず試したい」
② ディアナチュラ「ヘム鉄」
スタンダードモデル
国内大手
品質と価格のバランス型
向いている人
👉「継続前提で選びたい」
③ ワカサプリ「ヘム鉄」
上位モデル(接客のプロ仕様??
ここが、この3つの中で一段“思想が違う”ポイントです。
鉄補給にミネラルバランスという思想が組み込まれています。
なぜ「ミネラルバランス」が重要なのか
人の体は、鉄・亜鉛・銅・マグネシウムなどが、微妙な割合でバランスを取っています。
鉄だけを大量に摂ると
亜鉛の吸収が落ちる
銅の吸収が落ちる
亜鉛や銅の吸収が落ちると、めぐりめぐっていろんな影響が出ますが・・・
たとえば、鉄は“運ばれないと使えない”
鉄は、
トランスフェリンというタンパク質に乗って運ばれ
セルロプラスミン(銅依存性酵素)に支えられ
亜鉛がヘモグロビン合成に関与します
つまり、
鉄は“チームプレー型ミネラル”で、鉄だけを多くとればいいという話ではない。
ワカサプリの位置づけ
「鉄を入れる」だけでなく、「鉄が働ける環境まで設計されている」
だからこれは、
貧血治療の代わりではなく
治療後のメンテナンス
慢性的な鉄不足体質の調整
という、ワンランク上のポジションになります。
鉄過剰摂取のリスクも、ちゃんと知っておく
ここは、登録販売者、薬剤師として“外せない話”です。
鉄は「溜まるミネラル」
鉄は簡単には排泄されません。過剰になると肝臓に蓄積し、
ヘモジデローシス(鉄沈着症)
と呼ばれる肝障害の原因になります。
医療の現場では、
血清鉄(今、血中を流れている鉄)
フェリチン(体内に貯蔵されている鉄)
この両方を採血で確認しながら
用量
内服期間
を調整します。
薬剤師的・最終まとめ
| 状況 | ベストな選択 |
|---|---|
| 医師に貧血と診断された | 医薬品の鉄剤(第一鉄 or 第二鉄) |
| 胃が弱い・長期ケア | ヘム鉄サプリ |
| 治療後の体調管理 | ヘム鉄サプリ |
| 栄養バランスも重視 | ワカサプリ |
最後に、正直な一言
「鉄○mg配合」よりも、
「体の中で“使われる鉄”かどうか」
「お客さんの状況に応じてどう使い分けるか?」
そこが、本当の差です。
鉄剤やサプリ、飲み続けていいいの?という質問をされた時のための記事


























