■ はじめに

最近、「トローチで唾液中の新型コロナウイルス量が減少」という研究が話題になりました。

市販で買えるCPC配合ドロップで有名なのはこれです。

しかし現場ではこう思った人も多いはずです。

👉「トローチ処方してもらったという処方箋、増えるかな??」

ここで一つ重要な事実があります。

👉 病院で一番多く処方されるトローチと、今回話題のトローチは別の成分です

この違いを理解していないと、誤った説明や指導につながります。

■ 病院で処方されるトローチの正体

SPトローチ

● 成分

  • デカリニウム塩化物

● 作用

  • 陽イオン性殺菌薬
  • 細菌・真菌などに作用

● ポイント

👉 CPCは含まれていない

つまり

👉 今回の研究対象とは成分が異なる

■ 話題のトローチの正体

セチルピリジニウム塩化物

● 作用

  • 陽イオン界面活性剤
  • ウイルスのエンベロープ破壊

● 研究結果

  • 唾液中ウイルスRNA量
    👉 平均1/4に減少(※一時的)

 

■ なぜ効果が出たのか(実務的理解)

販売目的ではなく勉強のためなので、薬機法などのルールはおいておいて解説します。

① 接触時間

  • トローチ → 長時間口腔内に残る
  • 洗口液 → 数十秒で終了

CPC配合のマウスウォッシュなども販売されていますが、それでは効果はいまいちのようです。

👉 口内にとどまり作用する時間が全く違う

② 濃度

  • 医療用トローチ:CPC 約2mg(すでに販売終了)
  • 市販:1mg前後

👉 市販は濃度が少し低い

③ 作用特性

  • CPCは接触依存型

👉 長く留まるほど有利

■ 医療用CPCトローチの現状

● 医療用製品

  • セチルピリジニウム塩化物トローチ2mg「イワキ」

👉 ただし

👉 流通は極めて限定的(実質消失状態)

■ なぜSPトローチが主流なのか

● 理由

  • 古くから存在し安定供給
  • 医療用としての位置付けが確立
  • 軽症疾患で処方優先度が低い

👉 結果

👉 医療現場=SPトローチ一択状態

薬剤師でなくても、病院用トローチといえばこれが浮かぶはず。

■ OTCとの関係(ここが重要)

👉 CPCはむしろ

👉 市販製品に豊富に存在

副作用も少なく使用しやすい成分なので、何十年も市販され続けています。

■ ■ 成分比較表

● トローチ成分比較

製品分類主成分特徴
SPトローチ医療用デカリニウム塩化物殺菌特化(CPCなし)
CPCトローチ(医療用)医療用CPC 2mg現在ほぼ流通なし
コルゲンコーワトローチAOTCCPC+グリチルリチン酸+セネガ医薬部外品
ヴィックスメディケーテッドドロップOTCCPC+メチルエフェドリン+去痰成分医薬部外品
浅田飴ドロップOTCCPC中心(製品による)医薬品

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● 有効成分の役割整理

成分作用
CPC殺菌・抗ウイルス(膜破壊)
デカリニウム殺菌(類似機序)
グリチルリチン酸抗炎症
セネガ去痰
メチルエフェドリン気管支拡張

■ 実務での説明ポイント

● NG説明

当然だと思いますが、お客さんに聞かれて

👉「トローチでコロナ予防できます」

はNGです。

● 正しい説明

👉「口の中のウイルス量を一時的に減らす可能性がありますが、予防の主役ではありません」

■ 適切な使いどころ

👉 有効なシーン

  • 面会前
  • 医療・介護現場
  • 人と会う直前

👉 不適切な期待

  • 感染予防の代替
  • マスク不要

■ まとめ

ネットニュースで紹介されると、当たり前のものがセンセーショナルに映ることがあります。

👉 今回のポイント

  • 話題の成分はCPC(昭和の時代から愛されている)
  • 病院で出るトローチは主に、SPトローチ(別成分)
  • CPCトローチはむしろ市販に多い

■ ゆるやく的ひとこと

👉
「病院の薬=強い」は思考停止

👉
今回に関してはむしろ

👉 “市販の方がトレンドに乗っている”