調剤薬局で起こった斜め上をいく不正 懲戒解雇事例

出荷調整が暴いた、調剤薬局の斜め上不正
― 家系ラーメンと、伝票と、消えた小分け代金 ―
※この話は、実際にあった事例をもとにしています。
個人情報保護の観点から、登場人物・店舗・地域などはフェイクを交えています。
ただし、関係者が読んだら、たぶん一発で分かるタイプのやつです(笑)
プロローグ:不正は、だいたい“ありふれている”
調剤薬局でよく聞く不正といえば、だいたいこの三種の神器?です。
医薬品の横流し
一部負担金の横領
個人情報の漏洩
どれもリアルで、どれも笑えない。
そして、どれも「まあ、ありそうだよね」で片づけられるやつ。
でも今回の話は、その一段、斜め上に行きました。
第1章:出荷調整という名の、日常地獄

時代背景として、医薬品の出荷調整が当たり前になりはじめた頃。
発注しても来ない。
来ても、ちょっとだけ。
来るかどうかは、運と鬼発注。
うちの薬局は、門前の処方箋が1日200枚前後。
それなりに忙しいけど、ありがたいことに、比較的“少量ずつは納品される側”でした。
しかも、門前の先生が神対応。
「その薬、まだ出荷調整でしょ?
じゃあ、こっちに変えとくよ」
このおかげで、
「出荷調整薬=処方が自然に減る」
という、ちょっと不思議な在庫余裕ゾーンが生まれていました。
第2章:薬局ネットワークという名の“信頼インフラ”

地域の薬局同士で、在庫の融通は日常茶飯事。
今日はそっちが足りない
明日はこっちが足りない
持ちつ持たれつ。このやり取りは、だいたい事務さんに任せています。
そして、そこに現れたのが今回の主役、ミクちゃん(仮名)。
癒し系。
仕事は普通にできる。
車の中は、オタクが好きそうなぬいぐるみだらけ。
一目でわかる、“かわいい系事務員”です。
第3章:マネージャーと、青春補正
このミクちゃん、実は本部マネージャーのお気に入り。
というのも、面接したのがマネージャー本人で、その場採用。
しかもその面接、今思えばコンプラ的に薄氷。
「結婚とかで急に辞められると困るからさ、彼氏とかいる?」
私は横で、生暖かい目で見守っていました。
仕事はちゃんとやる。
だから、文句はない。
ただ一つだけ・・・。
マネージャーの来局頻度が、異常に増えた。うざい。
第4章:出荷調整薬を、なぜか“配りすぎる人”
問題は、ここからです。
ミクちゃん、出荷調整になっている薬を、やたらとある薬局に分譲してしまう。
正直、出荷調整の薬って、ライバル薬局にはあんまりあげたくないですよね。
最初は、「まあ、余裕あるし」と流しました。
でも、何度言っても、繰り返す。
マネージャーに相談。
マネージャー
「優しいんだね、ミクちゃんは。注意しておくよ」
……だめだ。
これでは使い物にならん。話にならない。
第5章:ドラッグストアと、イケメン薬剤師

ちょっと前に、近くにドラッグストアがオープンしていました。
最初は調剤なし。
一安心。
でも、調剤室を作れるスペースは完備。
「ああ、これは時間の問題だな」
そして、やっぱり始まってました。調剤。
ある日、偵察に行くと、そこには・・・。
イケメン薬剤師が二人。
テキパキ。
爽やか。
うちとは、なんか違う。
第6章:家系ラーメンが、すべてを見ていた

ある日、僕はインター近くの、いつもの家系ラーメン屋へ。
すると
ミクちゃんと、そのドラッグストアのイケメン薬剤師が、並んでラーメンを食べていました。
「あれ……?」
見なかったことにしようとした、その直後。
二人は店を出て、ミクちゃんは自分の車を置いたまま、相手の車へ。
この立地、周囲にあるのは・・・。
だいたい、ラブホ街。
「……なるほど」
すべてが、一本の線でつながりました。
第7章:悲しきマネージャーと、伝票の山

その話を、マネージャーに伝えたときの顔。
あれは、恋と人事と管理職が、同時に死んだ顔でした。
www。
でも、それだけではミクちゃんは悪くありません。
ただ、あの出荷調製品の融通には何かあると踏んで、小分け分譲の伝票と、受領書と、金額を精査。
すると・・・!
数字が、合わない。
分譲したはずの金額の、一部が、消えている。
つまり、横領。
しかも、かなり継続的。
第8章:斜め上の不正の正体

出荷調整。
在庫余裕。
分譲。
ドラッグストア。
イケメン薬剤師。
家系ラーメン。
消えた金額。
全部つなげると、一つの構図が浮かび上がります。
在庫を融通する立場を使って、小分け販売の金額を抜いていた。
正直、ここまで来ると、もう“つい出来心で・・・”じゃありません。
お金は二人で使っていたのかな。
第9章:エンディングは、静かに

結果。
売上金の横領で、懲戒解雇。
マネージャーのショックは、正直、私の比じゃありませんでした。
「仕事も、人も、信じてたんだけどな……」
その後。
家系ラーメン屋でも、街中でも、ミクちゃんの“ぬいぐるみカー”を見ることはなくなりました。
エピローグの、その先
― レジ周りに“防犯カメラ”があったら、未来は変わっていたかもしれない
この話を振り返って、いちばん引っかかるのは、ここなんです。
出荷調整の薬を、イケメン薬剤師のいるドラッグストアに融通する
それ自体は、“グレーだけど、恋は盲目”で終わったかもしれない。
でも、売上金を着服するところまで、踏み込んでしまった。
その一歩を、止められる瞬間は、きっとあった。
レジ周辺、事務所という“最後の一線”
在庫を動かすのは、ちょっとした言い訳ができます。
「融通しただけ」
「恩を売って置けばあとで帰ってくると思った」
でも、レジに入れるはずの売上金に触れる瞬間だけは、別です。
もし、レジ周辺の動きが、防犯カメラで記録される仕組みになっていたら。
引き出しに手をかける前に。
ポケットに入れる前に。
天井の隅の、あの小さな赤いランプが、こう言ったかもしれません。
「ここから先は、戻れないぞ」
防犯カメラという、もう一人の同僚

ここからは、不正をさせない、現場の道具としての話です。
ちょっとした出来心でスタッフを失う現場も大変だし、当の本人の人生も狂わせてしまう。自業自得かもしれないですが、多くそのようなケースを見ていると非常に悲しくなります。
「大規模なシステムは、いきなり無理」
「まずは、棚とレジ周りだけでも」
そんな薬局が、
一番、使いやすい選択肢が、2つあります。
① まずは手軽に“空気”をつくる
Amazonで買える防犯カメラ
工事不要
電源につなぐだけ
スマホで映像確認
1〜2台から始められる
👉 Amazonで防犯カメラを見てみる
(棚・レジ・バックヤード入口に1台ずつ置くだけで、“見られている空気”は変わります)
あまりやりたくはないですが、社員の怪しい動きを感じたら、隠しカメラで調べるということもありました。
②防犯カメラを本格的に設置するなら専門業者に相談する方法も
ここまでは、自分で設置できる防犯カメラを紹介しました。
ただ、薬局全体をカバーしようとすると、
「どこに付ければ死角が少ないのか」
「何台くらい必要なのか」
「録画データをどのくらい残すのか」
「配線や電源をどうするのか」
など、カメラそのものとは別の問題も出てきます。
特に複数台を設置する場合は、自分で機種や設置場所を決めるより、専門業者に一度相談してみるのも選択肢です。
ただし、防犯カメラの設置業者を普段から知っている人は、あまり多くないと思います。
そんなときに使えるのが、EMEAO!(エミーオ)という業者紹介サービスです。
EMEAO!は防犯カメラの販売会社ではなく、希望する条件を聞いたうえで、条件に合う業者を紹介してくれるサービスです。
公式サイトでは、独自審査を行った登録業者の中から最大8社を紹介するとしており、利用者側の紹介料は無料です。
そのため、
「本格的に設置したいけれど、そもそもどこの業者に相談すればいいのかわからない」
という場合に使いやすいサービスだと思います。
もちろん、紹介された業者に必ず工事を依頼する必要はありません。
まず見積もりを取って、
「薬局に数台設置すると、これくらいかかるのか」
と相場を確認してから、自分で設置するか、専門業者に任せるかを考える方法もあります。
自分で設置する範囲を超えそうなら、専門業者に相談してみる。
そのくらいの位置づけで知っておくとよいサービスです。
最後に
この話の“最後の一線”は、金庫でも、レジでも、ありませんでした。
それは、制服のポケットと、誰も見ていなかった棚のあいだ。
カメラは、犯人を捕まえるためのものじゃない。
“悪い気持ちを起こさせない空気”を、先につくるための道具です。
本当のオチ
この話、不正の話に見えて、結論は、
大切なスタッフを不幸な形で失わないために。防犯カメラを。
“現金に触れる、その一瞬”の話だったのかもしれません。
ポケットに、お金を入れる前の一瞬。
レジの引き出しに、手を伸ばす前の一瞬。
天井の隅の小さなカメラは、今日も静かに語りかけます。
「バカなことするんじゃないよ!」
白衣のポケットと防犯カメラ|薬局で起きた実話と不正防止の現実




















