薬局個別指導

令和3年薬局個別指導 薬剤使用期間中の患者フォローアップが重要

薬剤使用期間中の患者フォローアップ 個別指導

こんにちは。薬剤師&ケアマネ卵&ブロガーのゆるやく
です。

今回は、薬剤使用期間中の患者フォローアップについての解説です。

2019年12 月に薬機法が改正・公布されフォローアップについて言及されていました。
詳細はどうなるのか心待ちにしていたところ、2020年7月17日に日本薬剤師会から手引書が出ました。
以下引用します。

調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない旨が規定されました。

薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き より

 

原文はコチラ

 

経緯としてはこうです。

  • 薬剤師業務の中に服薬後のフォローアップというものはすでに存在していた。
  • しかし実際、服薬後のフォローアップが十分に行われていない。
  • 今回規定することにより、服薬後のフォローアップを薬剤師業務の中に定着させたい。

ということです。

 

長いし読むのめんどくさ~
じゃあ、どうすればいいの?
超ザックリ解説します。

 

免責:
なお、こちらはいち薬剤師の見解であり、正式なものではありませんので
不明点などは薬剤師会に問い合わせる等していただき、確実性を担保して
いただきたいと思います。

また、この記事が原因で発生したいかなる事象にも一切責任は負いかねるとともに、不備などを発見した場合は、お知らせいただけるとありがたいです。

薬剤使用期間中の患者フォローアップ やりかた

解説

 やり方はカンタン。

服薬指導中に不安に感じたらフォローアップを実施します。

  1. 通常通り、先確認を行い調剤する。
  2. 投薬時も含め、そこで得られた情報や処方内容から、服薬中のフォローアップの必要性を薬剤師が判断する。
  3. 服用期間中のフォローアップが必要と判断された患者さんには、なるべく同意をもらい、服薬中の連絡などでフォローアップする。
  4. フォローアップした際に得られた情報などを薬歴に記録する。
  5. 必要に応じて主治医と連携し対応する。(副作用発見時など)
  6. 得られた情報を、【今後の継続的な薬学管理・指導の留意点】にも生かす。

やり方が分かったところで、注意点について解説します。

薬剤服用期間中の患者フォローアップ 注意点

注意

【一律な判断はしない】

  • ハイリスク薬だからフォローアップが必要
  • 〇〇の疾患だからフォローアップが必要

といったような、一律な判断をしないこと。

 

【機械的な対応はしない】

  • フォローアップには必ずしも同意は必要ない。
    しかし、理解を得るよう努める必要がある。
  • 【法律で決まった・実施するよう指導された】からやるといった説明は、薬剤師としての責務を放棄し信頼を失墜させるのでNG。
  • ICTを活用し、メールでの連絡なども視野に入れていい。
    しかし、機械的に一律に送信するなどの形骸化はNG

 

それでは、実際にはどのような患者さんを対象としてフォローアップをしていけばいいのでしょうか。

具体例を交えながら解説します。

薬剤服用期間中の患者フォローアップ 具体例

指導

どのような患者さんを対象にフォローアップするか
次の3つの大枠の項目をもとに検討する。

① 個々の患者の特性

② 罹患している疾病の特性

③ 当該使用薬剤の特性

一律な選定はしないが、アドヒアランス不良の患者さんや、体調が刻々と変化する患者さん、副作用発生頻度の多い薬剤を服用中の患者さんなどは必然的に対象となります。

 

【検討する上での要素】

  • 使用薬(ハイリスク薬 他)
  • 併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品を含む)
  • 積極的に摂取している食品や嗜好品(健康食品、酒・タバコ 他)
  • アレルギー歴(医薬品、食品 他)、副作用歴
  • 疾患(原疾患、既往歴、合併症及び他科受診で加療中の疾患を含む)
  • 臨床検査値(腎機能、肝機能 他)
  • 薬剤等の使用状況(残薬の状況を含む)
  • 薬剤使用中の体調の変化
  • 年齢・性別
  • ⾝⻑・体重
  • 妊娠・授乳状況(女性)
  • 職業
  • 生活の特性
  • 患者特性(薬識・認識力、生活機能 他) 等

 

一律には判断しないが、

  • ハイリスク薬
  • 院内処方の他科受診のある人
  • 普段から残薬が多い人
  • 高齢で腎機能が低下しているなど体調に不安がある人

等がほんの一例です。

 

具体例1 インスリン製剤使用中の患者さん

注射単位が変わったとき、体調を崩している(シックデイ)に、低血糖の兆候が無いか確認の連絡をする。

低血糖の症状は非定型的なので、電話で確認してチェックする意義は大きいと思います。

(調剤後服薬指導加算まではハードルが高い時などにも)

具体例2 テオフィリンやβ遮断薬服用中の患者さん

投薬時、禁煙をしようか考えている、テオフィリン服用中の患者さんがいたとします。

禁煙でテオフィリンの作用が強くなる場合があるので、場合によっては投与量の調整が必要になります。

吐き気や頭痛などテオフィリンのSEが出ていないか聞き取りが必要かもしれません。

テオフィリンだけでなく、β遮断薬服用中の患者さんも注意が必要です。

ニコチンはβ遮断薬と作用が拮抗するので、急に禁煙した場合にβ遮断薬のSE(徐脈、低血圧など)が現れる可能性があります。

禁煙するかもしれないと言ってた場合は、途中で体調を確認させてもらうのもアリです

具体例3 アドヒアランスが悪い患者さん

普段からアドヒアランスが悪く残薬がある患者さん。

でも、投薬時に残薬の具体的な量が分からず毎回調整できない人もいます。

そんな患者さんには、次回受診予定前に電話で残薬を確認させてもらうと調整がスムーズです。

具体例4 アドヒアランスが悪く、一包化になった患者さん

いままで適当に薬を飲んでいた患者さん
一包化してコンプライアンスが改善したら、そのせいで一気にSEが発生することがあります。

驚いた薬剤師

笑い話じゃなく、ちゃんと飲まなかったから副作用なかったのに、ちゃんと飲んだために、副作用で体調を崩すケースがあります。

コンプライアンス改善で副作用発生って、皮肉だな
  • 降圧剤であれば、コンプライアンス改善による低血圧が無いか
  • 糖尿の薬であれば、低血糖が出ていないか

電話で確認する意義は大きいです。

具体例5 退院してきて、院外処方の患者さん

健康で病院とは無縁だった患者さんが、ある日突然脳梗塞で倒れて入院

その後、多剤服薬を余儀なくされるケースはよくあります。

入院中は、一包化されていたのだが、院外処方で一包化が外れていることが多い。

薬局では念のため一包化を提案しても、待ち時間や金額の面で不要となることがあります。

治療意識の高い患者さんなら、頑張って服用します。

 

でも中にはちゃんと飲まない人もいます。

 

そんな患者さんに、ちゃんと飲めてるか途中で確認しましょう。

もし飲めてなければ、持参いただければ一包化することもできます。

と伝えて途中で確認する流れは自然だね!

もしちゃんと飲めてなければ、持参していただき一包化してお渡ししましょう。

 

この時には、外来服薬支援料の算定も忘れずに実施しましょう。

 

 

このような視点で判断すると他にも、

  • 初めての吸入薬
  • 初めての抗がん剤

など、フォローアップが必要な薬剤が多くあることに気づくと思います。

フォローアップの判断を薬歴に残す

処方内容や服薬指導を通じて、フォローアップが必要かどうか判断したことを薬歴に残す。

SOAPの【A】にて、

「〇〇〇の為、服用期間中のフォローアップ必要と判断」

「アドヒアランス問題なし、Do・SEなしの為服用期間中のフォローアップなし」

などでいいかもしれません。

 

(今後の状況をみて、この部分は変更されるかもしれません。)

次回来局時には、フォローアップの結果を踏まえて必要なら
【今後の継続的な薬学管理・指導の留意点】を見直して表書きに記入する。

処方薬だけでなく、OTC薬にもフォローアップが必要

第一類 ロキソニン

今回の手引きには、OTC医薬品においても販売後の継続的なフォローアップや受診勧奨について言及されています。

また、薬剤師は必要と認めた場合に、販売時の情報提供に加えて連絡先を確認し薬歴を作成することも書かれています。

 

薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品についても当然ながら、確認した内容の分析・評価結果によって、販売後の継続的な確認や利用者への受診勧奨等が必要になるケースが想定される。販売にあたっての流れや留意すべき点、販売後の相談対応や販売後モニタリング等の考え方については、「要指導医薬品、一般用医薬品販売の手引き(日本薬剤師会)」で詳しく示しているので、参照されたい。(薬局製造販売医薬品は「要指導医薬品、一般用医薬品販売の手引き」の対象範囲外であるが、基本的な考え方は参考になるものと考える。)なお、薬剤師は必要と認めた場合、販売時の情報提供に加え、購入者の連絡先等を確認し、適切に販売記録や薬剤服用歴管理記録を作成しておくこと。

薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引きより

 

OTC販売における薬歴管理
私個人的な意見ですが、薬局、ドラッグストアともに積極的に取り組む必要があるのではないでしょうか。

 

スイッチOTC化が進まない理由として、今のOTC薬の売りっぱなしの体制が一番の問題となっています。

OTC薬品においても、例えば

要指導医薬品においては薬歴業務を行なうことが既成事実

となれば、今盛んに議論されているアフターピルや膀胱炎抗菌剤のOTC化などにも良い方向に影響するのではないかと思います。

幸い?要指導医薬品は壊滅状態の品数なので、薬歴の仕組み導入のチャンスです。

もちろん、無料でやるのがよいでしょう。

AIにはできない対人業務をしよう

今までは、

「〇〇のような症状があったら副作用かもしれないのですぐに連絡してください」

という指導が多かったと思います。

でもこれからは、薬局から確認させてくださいと、より一歩踏み込んだ指導が求められます。

また、

  • 一律にしないこと
  • 機械的に判断しないこと

等の文言が薬剤師会発行の手引きの中でひときわ目立ちました。

薬剤師業務が人間にしかできない対人業務であることを高らかに主張していることが分かります。

薬剤使用中の患者さんへのフォローアップが、今後AIにとって変えることができない業務となるため、現場の薬剤師が地道に積極的に取り組んでいくことが重要になると思います。

そして、その取り組み姿勢は、間違いなく個別指導で問われます。

今からしっかり準備をしておきましょう。

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