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2025財政審の概要はこちら
直近の財政制度等審議会(財政審)において、薬剤師の処方権に関する議論が行われています。内閣府ホームページ+1内閣府ホームページ+1
2025年4月23日に開催された財政審の資料では、薬剤師がリフィル処方箋への切替を処方医に提案することを評価する仕組みや、OTC類似薬について薬剤師の判断でリフィルに切り替えることができる仕組みの導入が提案されています。 財務省+1国立国会図書館+1
また、2024年11月14日の内閣府の資料でも、リフィル処方箋の活用を進めることが議論されています。 国立国会図書館+2内閣府ホームページ+2財務省+2
これらの議論は、薬剤師の職能拡大や医療費の適正化を目的としており、今後の医療制度改革において重要なテーマとなっています。
■「薬を出すだけ」の何が悪いんですかね?
「薬剤師ってさ、薬出すだけでしょ?」
「なんで診察もしてないのに点数取ってんの?」
──そんな声、薬局やSNSで何度見たことか。薬剤師本人でなくても、薬局勤務なら一度は聞いたことがあるはずです。
正直、反論したい気持ちをぐっとこらえてきました。
でも今回は、ハッキリ言わせてもらいます。
■ 医師の処方がないと、薬剤師は薬を出せない

薬剤師には「処方権」がありません。
薬剤師法や薬機法で、調剤はあくまで「医師の処方箋にもとづいて行う」ことと決められています。
どんな薬を
どのくらいの期間
どんな飲み方で出すか
──これらを決めるのは、全部医師です。
薬剤師は「安全かどうか」「相互作用がないか」などをチェックした上で、“許可された範囲内で”薬を出すだけ。
つまり、いくら患者のことを思っても、
「毎回通院しなくていいように、長めに薬出しましょうか?」
「症状安定してるし、もう少し量を減らしてもよさそうですね」
- 「薬余ってるから調整しときますね」
…こんな変更すら法律上はできなかったんです。
■ じゃあなぜ「薬出すだけ」と言われてきたのか?
結局、薬剤師の仕事が見えづらいからなんです。
処方箋の内容チェック
相互作用・重複投与・用法用量の確認
患者への聞き取りと服薬指導
医師への疑義照会や処方提案(ただし、却下されがち)
そういわれちゃうと身もふたもない・・・。
こうした仕事をしても、「それって当たり前でしょ?」と言われるだけ。
医師の処方という“フタ”があるせいで、どれだけ薬剤師が知識と責任を持っていても、裁量を発揮できなかった。
📝 補足:そもそも「リフィル処方箋」ってなに?

今回の財政審に登場するリフィル処方箋。これ、現在もあるんですけど知ってる人少ないので解説します。
リフィル処方箋とは、同じ処方箋で繰り返し薬をもらえる制度のことです。
◆ 通常の処方箋との違い
種類 | 特徴 |
---|---|
通常の処方箋 | 1回薬をもらったら終了。次回はまた医師の診察を受けて、新たな処方箋が必要。 |
リフィル処方箋 | 医師の判断で「〇回まで繰り返しOK」と記載されると、一定期間内に薬局で再度薬がもらえる。 |
例:
「30日分、3回まで」と書かれていれば…
→ 初回に30日分をもらった後、診察なしであと2回、病院に行かなくても薬局だけで同じ薬を受け取れる。
◆ こんな人に向いてます
高血圧や高脂血症など、症状が安定している人
いつも同じ薬30日分が何か月も何年も続いている人
「毎月通院は面倒…でも薬は必要」という人
忙しくてなかなか病院に行けない働き世代
医療費や交通費を節約したい高齢者や地方在住者
◆ リフィル処方箋のメリット
✅ 通院回数を減らせる
✅ 医療費(診察料)が減る
✅ 薬局だけで薬をもらえるのでラク
✅ 体調が安定している人には合理的
◆ 注意点もあります!
⚠ 症状に変化が出ても、薬局で(体調良いよ!と嘘つけば)医師の診察なしで薬が続く可能性がある
⚠ 薬剤師に副作用や体調の変化をしっかり伝える必要がある
⚠ 抗生物質や向精神薬など、一部の薬はリフィル不可
⚠ 調子が悪ければ、リフィル中でもすぐに受診を!
◆ つまりリフィルは「お薬のサブスク」ではなく…
これはよくある誤解ですが、リフィル処方箋は「お薬を定期便みたいにもらえるシステム」ではありません。
医師が「この患者は安定している」と判断したときだけOK。
毎回、薬剤師が「このまま継続して大丈夫か?」をチェックします。
リフィルは、医師と薬剤師、そして患者がチームで管理する継続医療の手段です。
今までは、何年も同じ処方だからリフィルにしませんか?と薬剤師が提案しても却下されることがほとんどでした。
それがこれからは、より強力に提案できるようにと議論されています。
◆ 降圧薬が30日処方で止まる理由
【1】生活習慣病管理料(約3000円~6000円)
2022年の診療報酬改定で、以下のような変更がありました:
● 新設:「生活習慣病管理料(Ⅰ・Ⅱ)」
高血圧、脂質異常症、糖尿病などが対象。
医師が毎月、療養計画の策定・説明を行うことが加算の前提。
つまり:
毎月診察して「生活指導」や「血圧・体重・食事の記録」を確認しないと、点数が算定できない。
したがって「薬だけ3ヶ月分まとめて出して通院は次回でOK」となると、この加算が残り2か月は取れなくなるのです。
毎月の診察料+この加算は経営上必然と注目されます。
◆ 収益的インセンティブが「30日処方」に誘導している構図
項目 | 説明 |
---|---|
診療所の現場では | 「生活習慣病管理料」が外来収益の基盤になっている。毎月算定できないと、経営的には厳しい。 |
そのため | 「30日分の処方+次回の予約」がセットで運用される。 |
実質的には | 生活指導というより、短期処方で通院頻度を増やすことで点数を維持している面がある。 |
■ でも、風向きが変わってきた。──2025年 財政審の提案
今年2025年4月の財政制度等審議会(財政審)では、リフィル処方の制度見直しが話題になりました。
「薬剤師がリフィル処方への切り替えを医師に提案した場合、それを評価する仕組みを作ってはどうか」
「OTC類似薬については、薬剤師がリフィル化できる制度の導入も検討すべき」
つまり、今まで“提案してもスルーされていた”薬剤師の意見に、
制度として“聞く義務”を持たせようという流れです。
■ だったら今度は、私たちがやりますよ。責任持って。

もし本当に、薬剤師がリフィル処方を判断できるようになったら──
薬局の役割はガラリと変わります。
必死で考えるから、最初は少し顔怖くなるかもしれませんが・・・。
症状が安定している患者に対して、薬の継続可否を判断
副作用や飲み忘れの有無を毎回ヒアリング
異常があれば、すぐ医師に連携・中止も判断
つまり、薬局が“治療継続の門番”になるということ。
今まで「医師が処方したから渡しました」で済んでいたことが、
これからは「薬剤師が今回診察なしで渡すと判断した」になる。
責任?もちろん覚悟しています。
でも今まで「仕事してない」って言われてきたんですよ?
やっとさせてもらえるなら、今度はやってやりますよ。
■ 世間の皆さんにも、お願いがあります。
薬剤師が変わるなら、世の中にも変わってほしいことがあります。
「薬出すだけ」の時代は、終わりにします。
その代わり、薬剤師を“診察の延長線にいる存在”として見てほしい。
私たちは、患者の体調を毎月見て、支え続ける存在になります。
だからどうか、
「薬剤師なんかいらない」とか、
「AIで十分」なんて言わないでください。
その仕事、人の目と心と責任がなきゃ務まりません。
■ 世間へのメッセージ:今こそ薬剤師は「批判された分、信頼を勝ち取りに行く」時

「薬剤師が何もしてこなかった」のではなく、「させてもらえなかった」
それが今、制度の壁が少しずつ崩れてきた
今度は、“責任を持って関わらせてもらう”ために、世間も協力してほしい
だから、批判してきた人たちも、どうかこれからは応援してください。もっとやらせろ!と
?どうやって応援するのか?
なんでも病院行って処方箋じゃなくて、薬局でできることは薬局にやらせよう。そのほうが効率的だし医療費節約にもなる。
という世論を形成することです。
袋詰めだけしているという批判の書き込みが、薬剤師を活用できるように、しばられた手足を開放してやろう!という書き込みに変わればいいんです(笑)