ドラッグストアで医薬品販売をしていると、意外と多い相談があります。

👩

「昨日ご飯食べてたら口の中を噛んじゃって……何か塗る薬ありますか?」

この相談。

簡単そうに見えて、実は薬剤師・登録販売者の考え方が出る場面です。

口内炎なら、やっぱりよく効きそうなステロイド入りをすすめればいいんですか?

もちろんステロイド入りが悪いわけじゃないよ。でも今回の相談内容をよく見るのがポイントだね。

「口内炎ならステロイド入りが効きますよ」

そう考える人も多いかもしれません。

もちろんステロイド配合の口内炎薬が悪いわけではありません。

炎症をしっかり抑えたい時には、とても頼れる成分です。

でも今回の相談。

もう一度確認してみましょう。

「口の中を噛んだ」

です。

つまり犯人は……

自分の歯です😇

ウイルスでもありません。

細菌でもありません。

外からやってきた敵でもありません。

何十年も一緒に生活してきた歯による突然の裏切りです。

まさか一番身近な存在に裏切られるなんて……

しかも一度腫れると同じ場所をまた噛むという追加攻撃まであるからね。

患者さんも、

タイムマシンで昨日に戻って、

「そこは食べ物じゃない!」

と突っ込みを入れてほしいわけでもありません。

困っているのは、

「食べる時に痛い」「しみてつらい」

という今の問題だったりします。

そこで考えたいのが、

炎症を抑える+患部を守る

という考え方です。

今回は、口を噛んでできた口内炎への市販薬選びについて、薬剤師目線で解説します。

薬剤師・登録販売者さんのOTC接客の参考になればと思います。

まずは薬機法を一旦横に置いて考えるコーナー

最初に言っておきます。

ここからは分かりやすさ優先です。

薬機法上の正しい表現や効能効果はいったん横に置いて、

「患者さんの口の中で何が起きているのか」

をイメージするコーナーです。

あとでちゃんと薬機法の世界へ戻ります😇

薬剤師ブログなのに薬機法を横に置くんですか!?

もちろん最後は戻るよ。まずイメージできないと接客で説明できないからね。

口の中を噛む=口の中に小さなケガをした状態

ものすごく簡単に考えると、

口を噛むということは、

口の粘膜に傷ができた状態です。

例えば指を少し切った時。

普通ならどうしますか?

とりあえず絆創膏を貼りますよね。

でも問題があります。

口の中。

絆創膏貼れません😇

さらに環境が過酷です。

・唾液があります
・舌が動きます
・歯が当たります
・食事が通ります

しかも1日3回。

朝食。

昼食。

夕食。

傷口からすると、

「少し休ませてください」

と言いたくなる環境です。

だから「口の中の絆創膏」という考え方

そこで注目したいのが口腔用軟膏です。

もちろん本物の絆創膏ではありません。

でもイメージとしては、

軟膏が患部に付着する

刺激から守る

炎症を抑える成分が働く

という考え方です。

つまり成分だけじゃなくて、そこに残ることも大事なんですね。

そう。口の中の薬は有効成分だけ見ていると特徴を見落とすことがあるよ。

特に口を噛んだ場合。

患者さんが一番困るタイミング。

それは食事です。

だから、

食事前に患部をカバーしておく

という考え方が出てきます。

サトウ口内軟膏が使いやすい理由

ここで選択肢になるのが、

サトウ口内軟膏のようなアズレン系口腔用軟膏です。

特徴は、

・ステロイドなし
・アズレン配合
・患部に付着する軟膏タイプ

というところです。

アズレンは比較的マイルドな抗炎症成分です。

また口の中に使う薬なので、通常使用で唾液と一緒に少量流れることも考えられて作られています。

食事前に塗る。

食事中の刺激を減らす。

多少飲み込んでも大丈夫。

しみないのが優先!

食後に取れた場合は、説明書の範囲内で使用する。

このような考え方ができます。

薬の強さだけじゃなくて、患者さんが困るタイミングを見るんですね。

そう。OTC相談では「何を治したいか」だけじゃなく「何に困っているか」を聞くのが大事だね。

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※もちろん傷が深い場合、長期間治らない場合、繰り返す場合などは受診も必要です。

ここから薬剤師・登録販売者モードに戻ります

さて。

ここまでかなりイメージ優先で説明しました。

ここから薬機法の世界に帰ってきます😇

戻ってきましたね。危うく「口の中の絆創膏です!」って接客するところでした。

イメージとして理解することと、実際の販売説明は分けて考えるのが大事だね。

店頭で、

「口の中の絆創膏です!」

「食事前に塗ればしみにくくなり、何でも食べられます!」

というような断定的な説明は避けましょう。

医薬品には承認された効能効果があります。

説明するときは、

「患部に付着するタイプの軟膏です」

「炎症を抑える成分が配合されています」

「食事などで刺激を感じる部分を覆うことができます」

というように製品特徴に沿った案内が大切です。

サトウ口内軟膏とトラフル軟膏(第3類)を比較

では薬剤師・登録販売者向けに成分を確認します。

アズレン配合の口内炎軟膏といえば、今はこの2つが主流。

どちらも第3類医薬品。

ステロイドは含まれていません。

成分役割トラフル軟膏サトウ口内軟膏
アズレンスルホン酸Na水和物抗炎症0.02%0.02%
グリチルレチン酸抗炎症0.3%0.3%
セチルピリジニウム塩化物水和物殺菌0.1%0.1%
アラントイン組織修復補助0.3%なし
ステロイド抗炎症なしなし

基本となる、

アズレン
グリチルレチン酸
CPC(殺菌成分)

は同じです。

こう見ると、有効成分はかなり似ているんですね。

そうだね。だからこそ違いを見るなら、追加成分や製剤設計まで見ると面白いよ。

違いはどこを見る?

トラフル軟膏(第3類)

特徴は、

炎症を抑える

殺菌

アラントインによる修復補助

です。

成分数を見ると充実しています。

サトウ口内軟膏

特徴は、

炎症を抑える

殺菌

患部への付着・保護

です。

特に「口を噛んで食事がつらい」という相談では、この付着性がポイントになります。

普通なら成分が多い方が良さそうって思っちゃいます。

そこがOTC接客の面白いところ。成分数だけじゃなく、患者さんの困りごとに合っているかを見るんだよ。

口腔用軟膏は添加物も大切

薬を見る時、有効成分だけを見がちです。

でも口の中の薬は、

「そこに残れるか」

が非常に大切です。

口の中は、

水分だらけ。

動きまくり。

普通ならすぐ流れてしまいます。

そこで基剤の工夫があります。

比較トラフル軟膏サトウ口内軟膏
密着性
水分への反応水分を吸って粘着するタイプ水分接触で固まり患部を覆うポリマー基剤
保護膜形成◎(メーカーが特徴として強調)
修復成分アラントインありなし
口内での残りやすさ高め高め
成分数多い(有効成分4種)添加物設計が厚い

口の薬って、有効成分だけ見ればいいと思っていました。

普通の塗り薬以上に、口の中では「残る工夫」が重要になるね。

真面目なブログ?なので、添加物の解説も一応・・・。

添加物主な目的
ゲル化炭化水素油性基剤として軟膏を保持し、患部から流れにくくする
ポリアクリル酸Na水分を吸収して膨潤し、患部への密着性を高める
カルメロースNa粘度・保水性を高め、製剤の保持性を補助する
メタケイ酸アルミン酸Mg増粘・吸着作用により製剤の安定性や性状を調整する
マクロゴール基剤として硬さ・伸び・使用感を調整する
エデト酸Na金属イオンを捕捉し品質を安定化する
ビタミンE抗酸化作用により成分や基剤の酸化を抑える目的で使用される
L-メントール清涼感を与え、使用感を改善する

有効成分だけではなく、

「どう患部に届けるか」

まで見ると製品の違いが分かります。

OTC接客では強さより目的を見る

口内炎薬。

「強いものください」

よくあります。

でもOTC接客では、薬理的に活性が強い、

強い=正解

とは限りません。

患者さんによって、何が一番強いかが異なります。

今回なら、

原因
→口を噛んだ

困りごと
→食事で刺激がある

目的
→患部を守りながらケアしたい

という考え方もできます。

患者さんは薬が欲しいんじゃなくて、困っていることを解決したいんですね。

そこを見るのがOTC相談の大事なところだと思うよ。

まとめ

口の中を噛んだ時。強い=ステロイドとなりがちですが、

ステロイド入り口内炎薬だけが選択肢ではありません。

アズレン系口腔用軟膏が候補になります。

サトウ口内軟膏

✔ アズレン配合
✔ ステロイドなし
✔ 患部への付着性が特徴

口を噛んで食事がつらい時に提案しやすい商品です。

しかも、一番安かったりする(笑)

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トラフル軟膏(第3類)

✔ アズレン配合
✔ ステロイドなし
✔ アラントイン配合

炎症+修復サポートを考えた商品です。

サトウ口内炎軟膏が無ければ、こっちが選択肢になります。

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薬剤師・登録販売者の仕事は、

「一番強い薬を選ぶこと」

だけではありません。

患者さんが何に困っているのか。

そこを考えて提案する。

それがOTC相談のおもしろいところだと思います。

薬って成分比較だけじゃなく、使う場面まで考えるんですね。

そう。そこが薬剤師や登録販売者が相談を受ける意味だと思うよ。