薬剤師が“鉄剤・サプリを続けていい人・やめたほうがいい人”を本音で解説
ドラッグストアの鉄売り場に立っていると、だいたい最後にこの質問が飛んできます。
「これ、ずっと飲んでて大丈夫ですか?」
……この質問、実はかなりレベルが高いです。
なぜなら鉄は、
足りないと困る。
でも、多すぎるとちゃんと問題を起こす。
という、優等生っぽい顔をして管理が必要なミネラルだからです。
ビタミンCみたいに、
「余ったらおしっこで流れていきます」
という、気楽なタイプではありません。
まず結論から
| 種類 | 飲み続けていいか |
|---|---|
| 医薬品の鉄剤 | 原則、ずっとはNG |
| ヘム鉄サプリ | 条件付きでOK |
| 非ヘム鉄サプリ | 量と期間に注意 |
医薬品の鉄剤は“短期集中型”
病院で処方される鉄剤の目的は、はっきりしています。
鉄欠乏性貧血などを“治す”ための薬
雑に言えば、やることは2つだけです。
ヘモグロビン(Hb)を回復させる
フェリチン(体内に貯めている鉄)を満たす
ここまで到達したら、本来は“役目終了”です。
なぜ飲み続けると問題になるのか
鉄は体に溜まるミネラルです。
簡単には体外に排泄されません。
長期間、必要以上に摂取すると、
肝臓
脾臓
骨髄
などに沈着し、ヘモジデローシス(鉄沈着症)と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。
これはもう、サプリの話ではなく“病気の領域”です。
医療現場の正しい管理方法

本来、鉄の過不足は“感覚”では判断しません。
鉄剤を飲んで便が黒くなるから、余分な鉄が排泄されている→鉄は足りているという認識は誤りです。
医療機関では、
血清鉄(今、血中を流れている鉄)
フェリチン(体内に貯蔵されている鉄)
トランスフェリン飽和度
これらを採血で確認しながら、
用量
内服期間
を調整します。
第一鉄・第二鉄の話も、実はここに関係する
医薬品の鉄剤には、
第一鉄(Fe²⁺)
第二鉄(Fe³⁺)
という違いがあります。
第一鉄
そのまま吸収される形
効きが速い
その分、胃腸への刺激が強い
第二鉄
第一鉄に変換されてから吸収
効きは穏やか
胃への負担が比較的少ない
つまり、
“効かせにいく薬”ほど、管理が必要という設計です。
サプリは“体調管理ポジション”
一方、サプリの役割は違います。
サプリは、鉄不足“体質”の調整
対象になるのは、
食事量が少ない
月経がある
胃腸が弱くて医薬品が続かない
なんとなく疲れやすい
こういう、グレーゾーンの人たちです。
ヘム鉄が“続けやすい”理由
ヘム鉄は、
食事の影響を受けにくい
胃酸の影響を受けにくい
腸への刺激が少ない
つまり、
ヘム鉄サプリは“毎日飲む前提で設計されている鉄”
この立ち位置になります。
それでも「飲みっぱなし」はNG
ここは、ちゃんと書いておきます。
サプリでも、鉄を摂っている=鉄が体に入っているのは事実です。
なので、
何年も
目的なしに
用量を気にせず
という飲み方は、正直、あまりおすすめできません。
黒い便が続いている場合の正しい考え方

鉄剤や鉄サプリを飲んでいると、吸収されなかった鉄が腸内で反応し、便が黒くなることがあります。
これは鉄製剤ではよくある現象で、適量でも起こります。
ただし、黒い便そのものが「鉄が体内に過剰に蓄積しているサイン」というわけではありません。
鉄の過不足は、便の色では判断できず、フェリチンや血清鉄などの血液検査で評価する必要があります。
もし、黒い便が長期間続いているのに体調の改善を感じない場合は、「本当に今も鉄が必要なのか」を一度確認するために、医療機関で採血を受けることが安全です。
ミネラルバランスの話も、ここで効いてくる
鉄だけを長期間摂り続けると、
亜鉛
銅
これらの吸収が落ちることがあります。
すると、
鉄は入っているのに、うまく“使われない体”になる
という、ちょっと皮肉な状態になります。
ワカサプリはミネラルバランスも考えて作られているが、お値段も少々高めです。
薬剤師的・安全な“続け方モデル”
治療フェーズ(医薬品)
期間:2〜3か月目安
目標:Hbとフェリチンの回復
管理:場合によっては医師の指示+採血
メンテナンスフェーズ(サプリ)
種類:ヘム鉄推奨
量:表示量の範囲内
期間:3か月くらいで「体調が改善しているな~」、なら、一度止めてみるか減らして様子みて服用量調整しましょう。
こんな人は、一度“鉄以外”も疑っていい
鉄を飲んでいるのに、全然よくならない
ずっと眠い、だるい
めまいが続く
この場合、
甲状腺
睡眠
ストレス
たんぱく質不足
など、鉄とは別の原因のことも珍しくありません。
貧血が気になって鉄剤を飲んでみたものの改善しない場合は、一度受診し血液検査などを受けることをお勧めしましょう。
最後に、現場で使える一言

(なんかAIでイミフなイラスト出た)
お客さんに、鉄剤やサプリを飲み続けてもいいのか聞かれたら、これが一番安全です。
鉄は、足りなくても困るし、多すぎても困る栄養素です。
治療は病院で、体調管理はサプリで。
ずっと飲むなら、たまに“本当に必要か”を確認しましょう。
まとめ
| パターン | 正解 |
|---|---|
| 貧血と診断された(病院の薬までは不要と言われた) | 医薬品+しばらくして再度受診 |
| 予防・体調管理 | ヘム鉄サプリ |
| 半年以上継続 改善しない | 一度医療機関を受診 |
ゆるやく的・本音
鉄は“やさしい顔して、ちゃんと管理が必要なやつ”です。
ビタミンCやビタミンBとはちょっと毛色が違います。
飲んでればいいやと適当に放置すると、病気を見逃したり、副作用のリスクがあったりと、注意も必要です。
鉄剤の使い分けは以下の記事をご参考に。






















