こんにちは、ゆるやくです。

2026年10月、イオングループから気になるニュースが出てきました。

スーパー約100店舗を閉鎖する。

しかも、閉鎖した店舗をウエルシアなどのドラッグストアへ転換する可能性があるというのです。

スーパーがなくなって、ドラッグストアになる。

ドラッグストア業界に長くいた身としては、なかなか興味深い話です。

そこで今回は、企業の決算資料を確認し、どのチェーンが対象になるのか、どの地域に店舗が集中しているのか、実際に閉店した店舗はどこなのかを調べてみました。

最初に結論をお伝えします。

2026年10月18日時点で、今後閉鎖する約100店舗の店名は公表されていません。

ただし、会社が示した選定基準と、公式の店舗分布を組み合わせれば、今後注目すべき地域はある程度絞れます。

🏪閉鎖するのは、イオン全体のスーパー100店ではない

今回、約100店舗の閉鎖を計画しているのは、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)です。

同社はイオングループのスーパーマーケット持株会社で、主に首都圏の店舗を展開しています。

対象となる事業会社は4社です。

事業会社店舗数
マルエツ308店
カスミ200店
いなげや129店
イオンフードスタイル123店
合計760店

※2026年9月28日時点の公式情報。

イオンフードスタイルには、関東のダイエー、マックスバリュ、ピーコックストアなどが含まれます。

つまり、北海道から沖縄までのイオン系スーパーが一律に100店閉鎖されるという話ではありません。

U.S.M.Hが展開する760店舗の中で、2030年度までに約100店の閉鎖を計画しているということです。

単純計算では全体の約13.2%。

およそ7〜8店舗に1店舗に相当します。

かなり大きな構造改革ですね。

📉なぜ100店舗も閉鎖するのか?

10月9日に発表された2027年2月期中間決算では、U.S.M.Hの営業収益は約5,448億円でした。

前年同期比では14.0%の増収ですが、営業損益は約32.8億円の赤字です。

ただし、売上の増加にはイオンフードスタイルへの事業統合による影響もあるため、既存店が大きく成長したという意味ではありません。

同社は、物価上昇による仕入れ価格や資材価格の上昇に加え、客数や買い上げ点数が計画に届かなかったことなどを説明しています。

さらに、決算説明会では気になる数字も示されました。

760店舗のうち、約3割が経営的に厳しい状況だというのです。

単純計算では約230店舗。

ただし、この約3割すべてが赤字店舗だと確定しているわけではなく、閉鎖対象の100店とも一致しません。

経営が厳しい店舗の中にも、改装や投資によって再生できる店舗があるからです。

今回の構造改革は、採算の悪い店舗を見直し、成長の見込める店舗や事業へ経営資源を移す取り組みだと考えられます。

🔍閉店候補となる店舗の条件は?

ここが今回の調査で最も重要な部分です。

U.S.M.Hは10月9日の決算説明会で、閉鎖する100店舗の地域や屋号について質問を受けています。

井出武美社長の説明を整理すると、判断材料は次のようになります。

・店舗の古さ

・現在の営業損益

・周辺地域の人口動態

・今後の投資で成長できるか

・営業利益やキャッシュを生み出せるか

そして、屋号・地域・店舗規模を問わず検討するとのこと。

現段階で100店舗すべてが決まっているわけではありません。

もう一つ、重要な発言がありました。

結果として、地方・郊外の店舗が多くなる可能性が高いという見通しです。

つまり、店舗の集中している東京都だけを見ていても、実際の再編地域を予測できないわけです。

ただし、古い店舗でも立地や収益性がよければ改装・建て替えの対象になり得ます。

築年数だけで閉店が決まるわけではありません。

📍どの都県に店舗が多いのか?

U.S.M.Hの公式サイトで、都県別の店舗数を確認しました。

都県店舗数全体に占める割合
東京都31140.9%
埼玉県11615.3%
茨城県11314.9%
千葉県11214.7%
神奈川県9612.6%
栃木県81.1%
群馬県40.5%
合計760100%

※2026年9月28日時点。

東京都が圧倒的に多く、全体の約4割を占めています。

ただし、同じ東京でも都心の小型スーパーと、多摩地域の住宅地型スーパーでは経営条件が異なります。

店舗数だけでは閉店の可能性を判断できません。

そこで、事業会社ごとの地域分布をもう少し詳しく見てみます。

🥇注目地域① 茨城県の日立・ひたちなか周辺

私が最も注目したのは、茨城県です。

カスミは県内に112店舗を展開しています。

そのうち県北エリアには19店舗があります。

具体的には、日立市に5店舗、ひたちなか市に6店舗などです。

なぜこの地域なのか。

実は、U.S.M.Hの決算説明会で、カスミの折本社長が具体的に名前を挙げているのです。

茨城県の日立・ひたちなかエリアでは、競合店の出店への対応が弱かったことを、上期の課題として説明しています。

これは重要な情報です。

単に人口が減少している地域を推測するのではなく、会社自身が競争上の課題を認めている地域だからです。

ただし、日立・ひたちなかの店舗が閉鎖対象に指定されたという意味ではありません。

カスミは下期に客数回復や商品力強化を進める方針も示しています。

今後、店舗改装、価格政策、競合対策、閉店など、どの施策が採られるのかを継続して見ていく価値があります。

そして、ここには既にウエルシアも展開しています。

ウエルシア薬局の公式店舗検索では、日立市に5件、ひたちなか市に13件の店舗が掲載されています。

既存のウエルシアとの距離や商圏の重複を確認する必要はありますが、店舗再配置を考えるうえでは注目できる地域です。

🥈注目地域② 栃木県

続いて栃木県です。

U.S.M.Hグループの店舗は8店舗。

そのうちカスミが7店舗を占めています。

栃木県についても、カスミの社長が競合対策の弱さに言及しています。

公式店舗検索で確認できるカスミの出店地域は、宇都宮市、鹿沼市、上三川町、佐野市、壬生町、真岡市などです。

ただし、U.S.M.H全体で見ると栃木県内の店舗数は8店舗しかありません。

したがって、今回の100店閉鎖計画の中心が栃木県になるとは考えにくいでしょう。

むしろ、店舗数の少ない地域で、グループの物流や店舗運営をどう効率化するかという視点が重要です。

ウエルシアは栃木県にも多数出店しており、既存のドラッグストア網との関係も考慮されるはずです。

ここも実際の閉店・転換を断定するのではなく、再編動向を追う地域と考えています。

🥉注目地域③ 埼玉県・千葉県の郊外

続いて、埼玉県と千葉県です。

U.S.M.Hは埼玉県に116店舗、千葉県に112店舗を展開しています。

両県には、駅前の小型店だけでなく、住宅地に立地する中規模・大型スーパーもあります。

この地域が興味深いのは、スーパーの閉鎖だけでなく、その後の建物や土地の使い道が考えやすいことです。

例えば、駐車場を備えたロードサイド型の店舗。

店舗面積がドラッグストアに適しており、周辺人口や交通量、競合状況などの条件が合えば、別業態への転換を検討する余地があります。

一方、既に近隣にウエルシアがある場合は、既存店との競合を避けなければなりません。

したがって、郊外だから必ずウエルシアになるという話ではありません。

📋実際に閉店した店舗はどこ?

今後の100店舗の一覧は未公表ですが、2026年3〜8月に閉店した店舗の実名は、U.S.M.Hの公式決算参考資料に掲載されています。

閉店日店舗名所在地
3月29日フードスクエアイオンタウン木更津朝日店千葉県木更津市
4月26日マルエツ サリア武蔵浦和店埼玉県さいたま市
5月6日フードスクエア ビバモール加須店埼玉県加須市
6月14日フードマーケット龍ケ岡店茨城県龍ケ崎市
6月21日マックスバリュエクスプレス大牧店埼玉県さいたま市
6月28日マックスバリュエクスプレス六郷土手駅前店東京都大田区
7月19日マルエツ 行徳店千葉県市川市
7月26日マルエツ みやぞの店千葉県流山市
8月23日マルエツ 上本郷店千葉県松戸市
8月30日マルエツ 柳崎店埼玉県川口市
8月30日FOOD OFFストッカー三郷店埼玉県三郷市

※2027年2月期中間決算の公式参考資料に掲載された閉店実績です。今回発表された将来の100店計画の確定対象一覧ではありません。

こうして見ると、閉店は郊外だけでなく、駅周辺や住宅地でも発生しています。

しかも、閉店した店舗がすべてウエルシアに変わったという事実は確認できません。

今後の店舗転換の可能性を考えるうえでは、こうした実績と将来計画を分ける必要があります。

💊スーパーを閉店して、なぜウエルシアなのか?

ここからは経営上の考察です。

スーパーは、食品を中心に売上を作る事業です。

食品は購入頻度が高く、地域住民の生活に欠かせません。

しかし、生鮮食品や総菜を扱うには、加工、温度管理、廃棄、物流などのコストがかかります。

人件費も大きな問題です。

一方、ドラッグストアでは食品だけでなく、医薬品、化粧品、日用品、ヘルスケア用品などを扱います。

商品の構成も、調達方法も、店舗オペレーションも異なります。

食品スーパーでは採算が合わなくなった立地でも、ドラッグストアであれば収益が成立する可能性があります。

ただし、ウエルシアも生鮮・食品を扱っており、ドラッグストアだから必ず利益率が高いという話ではありません。

業態転換には改装費用がかかりますし、処方箋を受け付ける店舗なら薬剤師の確保も必要です。

立地だけでなく、店舗面積、周辺の医療機関、競合ドラッグストア、地域住民の年齢構成なども関係します。

今回の発表は、スーパーの跡地をすべてドラッグストアにするというものではありません。

イオンの吉田社長は、立地に応じて、まいばすけっと、ビッグ・エー、ウエルシアなどへの転換を選択肢として挙げています。

駅近の小型店舗なら食品小型店。

住宅地や郊外の一定規模の店舗ならドラッグストア。

こうした使い分けが考えられますが、個々の物件についてはまだ正式な計画が出ていません。

🤝ウエルシアとツルハの経営統合も重要

ここで、もう一つ見落とせないことがあります。

ウエルシアHDは2025年12月、ツルハHDと経営統合しました。

2026年1月には、ツルハHDがイオンの連結子会社となっています。

つまり現在のイオンは、スーパー事業と大規模なドラッグストア事業を、グループ全体の戦略の中で考えられる立場にあります。

スーパー事業が不調だからといって、土地や建物をただ手放すのではなく、グループ内の別業態で再活用する。

これが今回のニュースの重要なポイントだと思います。

ただし、グループ内の事業だからといって、必ず転換できるわけではありません。

既存のウエルシアやツルハ系店舗との重複も考慮する必要があります。

新規出店として魅力的な場所かどうかは、別途判断されるはずです。

📈100店閉鎖でも、新規出店は続ける

今回の構造改革は、単純な店舗縮小計画ではありません。

U.S.M.Hは2030年度までに約100店舗を閉鎖する一方、約50店舗の新規出店も見込んでいます。

結果として、店舗数は50店舗強の純減を想定しています。

古い店舗を閉鎖し、別の場所へ新しく出店する。

また、既存店を改装して再生する。

そうした取り組みを組み合わせながら、全体の収益性を改善する計画です。

また、閉鎖した店舗の一部を、周辺店舗向けの製造拠点として利用する構想も示されています。

スーパーの跡地の使い道は、ドラッグストアだけではないということです。

👀今後、どこをチェックすればよい?

今後の動向を見るなら、私は次の情報を重視します。

・U.S.M.Hの四半期決算と閉店明細

・カスミ、マルエツ、いなげや、イオンフードスタイルの閉店・改装発表

・ウエルシアおよびツルハグループの新規出店情報

・日立・ひたちなか、栃木など、会社が競争上の課題を挙げた地域の動き

・埼玉県、千葉県、東京都郊外の店舗再配置

特に、閉店したスーパーの土地や建物がその後どう活用されるのかは、引き続き注目したいところです。

📝まとめ|スーパーの跡地にドラッグストア。これは店舗再編の始まりか

今回のニュースで興味深いのは、スーパーが100店閉鎖されるという数字だけではありません。

同じ場所でも、業態を変えることで事業が成立する可能性があるという点です。

これまでスーパーだった建物が、ドラッグストアになる。

あるいはディスカウントストアや小型スーパーになる。

同じイオングループの中で、土地や建物の価値を最大限に使おうという戦略が見えてきます。

ただし、どの店舗が閉鎖され、どの店舗がウエルシアに変わるのかは、まだ分かりません。

現時点で特定店舗の閉店を予告することはできませんが、会社が公表した店舗分布や競争上の課題から、注目する地域を整理することはできます。

茨城県の日立・ひたちなか周辺。

栃木県内。

そして、埼玉・千葉・東京郊外。

これらの地域で、今後どんな店舗再編が起きるのでしょうか。

薬局やドラッグストアの経営を考えるうえでも、なかなか面白い動きになりそうです。

📚参考資料・一次資料

U.S.M.H「2030年度までの構造改革計画について」
https://www.usmh.co.jp/wp-content/themes/usmh/files/20261013/US_20261013_restructuring_plan.pdf

U.S.M.H「2027年2月期第2四半期決算説明会 質疑応答」
https://www.usmh.co.jp/wp-content/themes/usmh/files/20261012/Ust_20261012_1525.pdf

U.S.M.H「2027年2月期第2四半期決算参考資料」
https://www.usmh.co.jp/wp-content/themes/usmh/files/20261009/Ust_20261009_1541.pdf

U.S.M.H「グループ店舗」
https://www.usmh.co.jp/group/number

カスミ公式店舗検索
https://www.kasumi.co.jp/

ウエルシア薬局公式店舗検索
https://store.welcia.co.jp/welcia/

流通ニュース(2026年10月14日)
「U.S.M.Hの閉店する100店舗はウエルシア、まいばすけっとに転換も」
https://www.ryutsuu.biz/strategy/s101412.html

 

※本記事の地域分析は公表資料に基づく筆者の考察です。

取り上げた地域や営業中の店舗について、閉店・転換の予定が確認されたことを意味しません。

情報は2026年10月18日時点です。