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薬剤師不要論の前に、まず消えるのは“薬剤師がやらなくてもいい仕事”かもしれない

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最近、わりと真顔で言われます。

「ロボット薬局」

とか、

「AIによる処方監査」

とか。

その流れで、だいたい最後に出てくるのが、「薬剤師、いらなくなるんじゃない?」という一言です。

たしかに、薬のデータベースを引く。

相互作用をチェックする。

用量を計算する。

このあたりは、AIの正確性も上がってきているし、実装されれば速さは断然早いと思います。

実際、薬局にあるレセコンは全然進化しておらず、まだまだ遠い話に思えますが、そこは置いといて

しかも、文句も言わず、残業代も請求せず、休憩も取らない。

理想の新人どころか、理想のベテランです。

でも、現場に立っていると、

「本当にAIに奪われそうな仕事って、そこじゃない気がするな」

と思う瞬間が、何度もあります。

薬剤師の仕事は、薬だけじゃない

調剤薬局で削られていくのは、知識でも、判断力でもありません。

一番、静かに減っていくのは、メンタルの耐久値です。

  • 期限切れの処方箋を出されて、なぜか怒られる。
  • 在庫がないと言ったら、人生そのものを否定される。
  • ルールを説明したら、「冷たい人間」認定される。

この一連のやり取り、薬学の教科書には、一行も載っていません。

ファミレスの猫が、すべてを教えてくれた

 

ファミレスで、人間のスタッフが通路をふさいだら、たぶん人はイラッとします。

でも、猫型配膳ロボットが道をふさいで、

あぶないにゃ〜

と言ったら、なぜか笑って、道を譲る人が出てきます。

この現象、よく考えると、かなり深い。

同じ内容を言っているのに、言う“存在”が変わるだけで、空気が変わる。

だったら、調剤薬局も、AIが最初に立つ場所は、処方監査じゃなくて、カウンターの前線なんじゃないかと思うわけです。

AIロボット、受付係になる

想像してみてください。

患者さんが来局したら、まず出迎えるのは、白衣の薬剤師ではなく、AI猫型ロボット

処方箋とお薬手帳を読み込ませる。

保険証やマイナ保険証を確認する。

初回受付票の内容を、会話しながら入力していく。

おなまえ、教えてほしいにゃ〜
今日は、どんな感じにゃ〜。しんどかったら、ソファーに座ったままでいいにゃ〜

患者さんは、無理に立たなくていい。

紙に向かわなくていい。

猫が、ちょこちょこと近づいて、目線を合わせて、話を聞いてくれる。

その裏で、情報はシステムに流れ、薬剤師の画面には、必要なデータだけが、きれいに整って表示される。

ロボットに言わせたい三大フレーズ

この方式の、本当の強みは、たぶんここです。

期限切れの処方箋

この処方箋は、きのうまでだったにゃ〜。病院に連絡してみるにゃ〜

在庫がないとき

ただいまお薬が世界を旅しているにゃ〜。戻り次第お知らせするにゃ〜

待ち時間が発生したとき

猫なのにネコの手借りたいにゃ〜。もう少しだけ待ってほしいにゃ〜

人間が言うと、“言い訳”とか“拒否”に聞こえる言葉が、ロボットが言うと、なぜか“演出”になります。

薬剤師は、後ろに下がるんじゃなくて、前に出る

ロボットが前線に立つ。

薬剤師は、その一歩後ろで、本来やるべき仕事に集中する。

飲み合わせの確認。

生活背景の聞き取り。

この人が、ちゃんと薬を飲めそうか、という“空気”の読み取り。

ここは、いまのところ、AIがいちばん苦手な場所です。

不要になるのは、仕事じゃなくて“役割の配分”かもしれない

よく言われます。「薬剤師は、AIに代替される」と。

でも、現場で見ていると、AIやロボットが相性が良いのは、薬剤師そのものじゃなくて、薬剤師が毎日、静かに引き受けている“理不尽対応”のほうです。

受付はロボット。説明は人間。

怒られる係はAI。判断する係は薬剤師。

この分業、意外と、みんなが少しだけ幸せになります。

カウンターに猫が座る日

表では、猫が会話をしている。

裏では、システムが仕事をしている。

人間は、人間にしかできないところへ向かう。

カウンターに猫が座る日は、薬局が“効率的になる日”じゃなくて、薬局が“ちょっとやさしくなる日”なのかもしれません。

さいごに

「薬剤師なんか、AIで代替しちまえ」

そう言う前に、まずは、薬剤師がやらなくてもいい“面倒な対人業務”から、ロボットに任せてみる。

そのほうが、たぶん、社会は平和になります。

今日もカウンターの向こう側で、次に進化するべきは、人間か、ロボットか、それとも、人間の振る舞いのほうか。

そもそも、人間の振る舞いが改善されることが最大の業務効率化策だから。

そんなことを考えながら、ファミレスでドリンクバーを飲んでます。