転職

薬剤師の労働基準法:有給休暇は取れてますか?

搾取

薬剤師は労働基準法を知らない。医療従事者だからと搾取されてませんか?

今回もとくに、人件費カット大好き経営者の薬局に起こりがちな問題。

【有給休暇が取れない】ことによる労働基準法違反についてまとめてみました。

薬局における、年次有給休暇の概要をわかりやすく解説

 

薬局薬剤師を含む労働者の年次有給休暇に関する規定は、労働基準法第39条に定められています。

労働基準法により、
勤務初日から6か月経過したら、必ず10日間の有給休暇が付与されます。
(全労働日の8割以上の日数に出勤した場合)

(年次有給休暇)
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第39条

まだそんな会社があるかどうか知らないけど、

うちは有休やっていないから。
有休なんてやったら、薬局閉めなきゃダメな日が出てくる。
患者さん困るでしょ?

 

こんなところは論外です。

少なくても、一部上場の薬局チェーンでは、【表向きは】そんなことはありません。
有給休暇を取りたいのに、取れない環境・・・。

そんな場合は、転職を視野に入れた計画を立てましょう。

有給休暇は正社員だけではなくパートやアルバイトにも認められています。
もはやこれは常識です。

というのも、

2019年4月1日から、最低年5日の有給休暇取得義務化が決定しました。
罰則付きの法律なので、どんな会社もやむを得ず対応に動き出したことにより、広く知られるようになりました。

労働基準法が改正され、2019(平成31)年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました。
厚生労働省 年次有給休暇の時季指定義務

しかしながら、

有給休暇は年に5日とればいいんだからね。それ以上は困るよ!

なんて会社もあったりします。

有給休暇を満足に取らせてくれない企業は、

  • 社員に休まれてしまうと薬局の業務がまわらない
  • 有休をとらせなければいけないことは分かるが、そうすると会社の利益が減る
  • そもそも、社員は取り換えの効く歯車

こんな風に考えられているかもしれません。

でも、

  • 自分が辞めたら、他の薬剤師や事務さんも困るだろうし、辞められない。
  • とりあえず今はそんなに待遇も悪くない。
    他の薬局も同じような感じだから、しかたない。

こんな風に考えていませんか?

 

いまは何とかなっても、これから調剤報酬削減で、薬局の経営はますます厳しくなります。

そうなると、経営体力のない会社から順に、大手に吸収されていく流れになります。

今でも満足に労働基準法を守れない会社に未来はありますか?

遅かれ早かれ、どこかに吸収されるのなら、早く動いたほうがいいかもしれません。

経営体力のない企業は、研修・教育のコストも削減します。

そんなところで時間を過ごしていて大丈夫でしょうか。

日々進歩する薬学、勉強を続けなければ生き残れない薬剤師業界で取り残されるかもしれません。

もし、会社の将来に不安を感じるなら、なるべく早めに動き始めましょう。

 

年次有給休暇はそもそも、法的にどうなっているのか?

法律

労働基準法第39条は労働者に「年次有給休暇」を取得する権利を定めています。

 

勤務開始から6か月以上経過し、その間の出勤率が8割以上の労働者に対し、勤労年数に応じた休暇取得が付与されます。

年次有給休暇は、労働者が自由に使うことができます。

  • 旅行に行っってリフレッシュする
  • 勉強や読書をする

どんな目的でもOKです。

年次有給休暇は、何日付与されるのか。

一般的な正社員なら、次のようになっています。

勤務期間 付与日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

条件:

週の所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上の一般労働者

1年間の所定労働日数が217日以上の労働者

参考:労働基準法第39条

時間単位・半日単位での付与も可能

年次有給休暇は「1日」単位で取得するのが原則ですが、「半日」単位で与えることも可能です。

 

有給休暇は、会社判断で計画的付与ができます

年次有給休暇は「計画的付与」が可能です。
計画付与をするためには、あらかじめ労使協定を締結する必要があります。

労働組合の無い会社には関係ないかもしれません。

会社が有給休暇を与える日にちを年に5日以内で指定できます。

たとえばGW年末年始で法定休日となっていない日に、近隣の医療機関に合わせて休業するときなどに使うことができます。

会社には有給休暇希望を変更する、時季変更権がある

有給休暇の取得は労働者の権利です。

会社都合による制限は原則として認められません。

ただし労働者の有休希望が、著しい会社運営の妨げになる場合、時季についてのみ会社が変更指定することが可能です。

たとえば

  • 大型連休明けや、風邪や花粉症などで繁忙期に有給休暇の請求があった場合
  • みんなが同時期に有給休暇申請が集中したケース

このようなときに時季変更権が認められる【ことがあり】ます。

 

【ことがある】というのは、時季変更権の乱用は認められていないことを指します。

その日は忙しいから有給はやめて!

といった感じで軽く時季変更をさせることはできません。

有休は、2年間で消えてしまう

 

年次有給休暇には「時効」があるので注意が必要です。

有給休暇は2年で時効消滅します。
1年で消化しきれなかった有給休暇には「繰越」が認められます。
繰り越しても2年で時効にかかるので、使わなければ消えてしまいます。

有給の買い取りは認められていない

 

会社の有給買取に関しては、厚生労働省でも【年次有給休暇の本来の趣旨である「休むこと」を妨げることとなるため、買い取りは法律違反となります。】という明記があります。

よって、有休買い取りは原則違法です。

もし、買取をOKとすると、【給与はそのままで、有休買取分も含む】なんていうブラック企業が出てきちゃうから、これは仕方ない措置だと思います。

 

ただし、退職時に未消化となっている有休を会社が買い取ることはできます。

 

年次有給休暇に関するQ&A

Q1 年次有給休暇の時効は何年ですか。

A1 年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅します(労働基準法第115条)。

Q2 年次有給休暇を買い取ることは可能ですか。

A2 年次有給休暇の本来の趣旨である「休むこと」を妨げることとなるため、買い取りは法律違反となります。ただし、退職時に結果的に残ってしまった年次有給休暇に対し、残日数に応じた金銭を給付することは差し支えありません。

厚生労働省 有給休暇の付与日数

アルバイト・パートの年次有給休暇について

一般には「アルバイトやパート職員には有給休暇が認められない」と思われていることがありますが、そのようなことはありません。

雇用契約の内容により詳細に計算が必要となります。

詳しくは下記リンク参照

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

 

有給取得を認めなかった場合の罰則

年次有給休暇の取得は労働者の権利です。

労働者から請求があれば会社は必ず休暇を与えねばなりません。

もし拒絶すれば6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。

2019年4月1日からは、労働者が希望しなくても年5日以上の休暇を与えなくてはダメになりました。

社員から申し出がないからと、有休休暇を与えなければ、会社は処罰対象となります。

最後に:もし有給が取得できない場合の対処方法

大切なことなので再確認

年次有給休暇の付与は労働基準法39条で認められた雇用者の義務です。

本来は、遠慮はいらないはずです。

でも、薬剤師としての責任感から、

自分が休んだら、患者さんの待ち時間が増えてしまう。

自分が休んだら、人員不足で調剤過誤が発生するかもしれない。

自分が休んだら、他の薬剤師の薬歴がたまってしまって、違法状態になるかもしれない。

かかりつけ薬剤師の算定に影響してしまう。

そもそも休みたいなんて、医療従事者として、恥ずかしく感じる。

 

そんな責任感は素晴らしく尊いものだと思います。

でも、有給休暇を取得することによって罪悪感に陥ることは間違っています。

休ませることができない会社こそ、罪悪感と向き合うべきなのです。

有給休暇が取得できない場合の一般的な対応方法は、こうです。

  • 社内相談窓口に相談する。
  • 労働基準監督署に駆け込む。

労働基準監督署に通報するのは、いわゆるブラック企業相手のやり方です。

一般の職種ならそれでいいかもしれませんが、薬剤師の世界は非常に狭いです。

小さい薬局はそもそも社内相談窓口が社長だったりします。

労働基準監督署に駆け込んだら、法的に勝ててもその会社には居にくくなります。

同じ地域で薬剤師として働けば、元の職場の人とも顔を合わせる機会が出てきます。

あまり強硬なやり方はよくないと思います。

対応方法としては、会社に有休取得の相談をして、真摯に取り合ってくれなければ、自ら動くしかないでしょう。

冒頭でも説明しましたが、今後調剤報酬改定でさらに薬局経営は厳しくなります。

有休が取得できない状態で成り立っている状態の会社は、まさに沈みかけの船です。

いつまでもしがみついて一緒に沈みたくなければ、早いうちに脱出が必要です。

あなたが脱出しても心配はいりません。

沈みかけの船であっても、大手の薬局からしたらまだまだ買いな案件であることが多いので、大手に吸収されることになるでしょう。

どうせ吸収されるなら、早いほうがいいです。

切羽詰まってから足元を見られた条件で転職するよりも、今のうちから動き始めればよい条件での転職が可能です。

急がなくてもいいので、時間を味方につけた有利な転職が可能です。

 

 

薬局経営者の方へ

もし見ていましたら、現場のスタッフはこのように考えているかもしれません。

もう昔の感覚は通用しません。

経営体力があるようなら、会社の利益だけを優先せず、社員のワークライフバランスにも十分に配慮しましょう。

勤続6年半以上の社員は、年に20日間有給休暇を取る権利があるということをお忘れないようご注意ください。

管理薬剤師も、知らずと労基法違反の指示を勤務薬剤師にしているかもしれません。

管理薬剤師は、薬事関連法規だけではなく労働基準法も知っておく必要があります。

 

職場が有給休暇が取りやすいか確かめてから転職したい。
そんな時は、紹介予定派遣という仕組みもあります。

 

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