Bloger Takaki

病院で薬もらいたいという人が、調剤薬局のデメリットしか見てない件

薬剤師ブログ

はじめに

昔は病院で薬がもらえたのに、今は薬局が別になっていて不便だ。I
そういわれて、悪者にされることもある調剤薬局。

医師が処方箋を発行し、薬剤師が調剤するこの仕組みを医薬分業と言います。

自分も深く知るまでは、医薬分業の目的は

  • 医師と薬剤師のダブルチェック
  • いろんな病院の薬を一元管理できるメリット

とかだと考えていました。
確かにそれは重要です。

それなら、若いうちはいろんな病院から薬もらうとか関係ないし、病院でもらったほうが楽でいいと思っていました。
そんな薬学生でした。

でも、国がここまで医薬分業を進めたことは、表立って言えない別の事情もありました。

今回は、医師と薬剤師のダブルチェックがとか、複数医療機関での重複のチェックができることが医薬分業のメリットだとか、優等生的な説明ではありません。

医薬分業にはいまの忖度社会ではなかなか表立って言えないメリットもあります。
そして現在国民は気づかずにそのメリットを享受しています。

かつての院内処方がどんなものだったのか?
ベテランの医薬品問屋さんなどに聞けば、教えてくれるかもしれません。
一杯飲ませると、いろいろやばい情報も出てくるかもしれません。

今回はそんな感じで仕入れた情報なので、エビデンスに基づいてはいません。
話半分で聞いてもらえればいいと思います。
でも、話を聞けば、まあそうなるよなといったことも理解できると思います。

薬剤師の人は、これを期に、自分たちが負っている責任を再認識できれば良いと思います。

かつての院内処方を覚えていますか?知っていますか?

医薬分業不要論に対して、かつての院内処方を覚えていますか?知ってますか?
そういう問いかけから始めましょう。

医薬分業が本格化したのは1990年代です

いま20代以下のひとは知らないかもしれません。
今でこそ調剤薬局に処方箋をもっていき調剤してもらうのが当たり前ですが、かつては医院などの中で会計と同時に薬をもらう「院内処方」が多くありました。

その一部だけを切り取って、昔は病院でそのまま薬がもらえて便利だったといわれています。

そうすると、医院などに薬剤師がいたのでしょうか?
そう思われる方もいるかもしれません。
大きな病院では薬局があり薬剤師がいました。
小さな医院やクリニックでは薬剤師がいることはまれでした。
いわゆる調剤は、看護師さん、事務さんが行っていました。

以前は事務員・看護師さんが院内で調剤

法的には医師自ら処方した薬を調剤することは問題ありません。
しかしそれが100%守られていたかといえば、保証はできません。
小規模の医院などでは、薬剤師もおらず、医師が自ら調剤しているということになっていました。
事務のパートさんが調剤してよいわけがありません。

薬剤師法
第19条 薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる目的において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。

院内処方であれば、使用する医薬品も少なく事務員でも薬を取りそろえることはできたかもしれません。

でも、事務員による調剤が本当にミスなく行われていたのか。
これは調べる方法がありませんでした。
おそらく、裁判沙汰になるような健康被害が起きなければ、ミスがあっても明るみに出ないでしょう。
仮に健康被害が起きても、医師から「起こりうる薬の副作用で、ミスではない」と説明されれば納得せざるを得ないでしょう。

また、院内処方がメインだった30年くらい前は、まだ日本がどんどん成長していた時代であり、いまのような少子高齢社会でもありませんでした。

今後高齢化が進むとは言われていましたが、まあ何とかなるさで楽観的な時代だったのでしょう。結果、いまはこのざまですが・・・

話を戻します。

以前は今ほど高齢者が少なく、医療費高騰もそんなに取り上げられない時代でした。
総じて国民の関心は低かったと思います。

医者からもらった薬がわかる本 覚えていますか

1988年薬がわかる本

医者からもらった薬がわかる本 ’88年度最新版 /法研/木村繁(1937-2006)

いまも本屋さんに行くと、片隅に【医者からもらった薬がわかる本】が置かれていますがほとんど売れていません。

インターネットの普及に伴い売れなくなったという面もありますが、それだけではありません。

今は患者さんが薬の名前を知っていて、何を飲んでいるか分かる人もいます。
しかし、30年くらい前は、患者さんは何を飲んでいるか知らない状態が普通でした。

それには、医療従事者の都合だけで進んできた医薬品の包装や印字が関係しています。

かつての院内調剤は、薬品名をとことん隠す

かつて院内処方時代では、医薬品は名称がわからない状態で交付することがあたりまでした。
今のように、薬の包装(ヒート)にしっかりとカタカナで読めるように文字は書かれていませんでした。

ヒートの耳(すみっこ)の部分に名前が印刷されている場合は、耳を切り取ってから患者さんに渡していました。

軟膏はどうしていたか?

チューブに品名の書いた紙がくっついていましたが、根元から切り取り線で切れるように工夫されていました。
交付するときはそのような表示はすべて取り払い、なるべく何だかわからないように交付することが一般的でした。

かつては、インフォームドコンセントという意識も浸透していませんでした。
(簡単に言えば、治療方針を説明してもらって、それに同意してから治療が始まること)
患者さんか何の薬かを知って、中途半端に副作用を知ってしまうとどうなるか
勝手に服薬をやめてしまう恐れがある。
今はそうならないように、しっかりと経緯を説明した治療が行われています。

治療方法を説明するという過程を省略していた場合、適応外処方などがされると患者さんにいらぬ心配や疑いをかけれる可能性がありました。
(適応外処方:薬の裏技的使い方)

いまは、血液サラサラで、バイアスピリンやバファリンA81mgなどが処方されます
バファリンA81が承認されるまでは、「小児用バファリン」を適応外処方で使っていました。

大人に小児用バファリンだすんだもん、そりゃ患者さんだって聞きたくなるでしょ

いってみれば、ごちゃごちゃ聞かれたら面倒だからわからないようにして渡す。
今のようにインターネットも普及していないので患者も調べようがない状態でした。

そんな中、自分が何を飲まされているかわからないまま不安感が醸成され、治療に対しても疑心暗鬼になっていたのでしょう。

そういう背景もあり、医者からもらった薬がわかる本が発売されると大ヒットしました。

当時の医者からもらった薬がわかる本は、薬に書かれた識別コードから何の薬か解読するところから始まっています。今では考えられないですが・・・

国により医薬分業が進められ、処方箋で情報開示が進んだ

詳しくは省略しますが、処方箋を発行したほうが病院が自前で薬を出すよりも儲かるように政策誘導がされました。
その結果、病院も積極的に薬を手放しました。
医薬分業が進み院外処方箋が発行されるようになりました。

院外処方になると、処方箋に薬品名が書かれています。

いわば、処方内容の情報開示が始まった状態でした。

院外処方のメリットは?

院外処方になると

「薬剤師にもみられるので、恥ずかしい処方箋は出せない。」

そう言っているドクターがいました。

考えてみればそうです。

自分の仕事の一部を外部に公表するわけです。

  • 技術者が製品の設計図を公表
  • プログラマーがソースコードを公表

そんなイメージでしょうか。

見えないところもスマートにやっていたいと考えるのがプロです。

処方せんを通じて知識がどこまでアップデートされているか公表するわけなので、プライドにかけても完璧な仕事を追求するでしょう。

 

お薬手帳 最初は無料 途中有料 今無料

ちょっと前には、薬局でお薬手帳をもらわないと料金が安くなるということがありました。

今はないです、というか、お薬手帳は無料なうえ、持ってこないと高くなりますから

もともと、お薬手帳は意識の高い薬局がサービスの一環として無料で始めたことが発端です。

すべての薬局がお薬手帳を無料で提供していたわけではなく、ばらつきがありました。

そんななか、東日本大震災が発生しました。
この時にお薬手帳の有用性が評価され、国が普及させようと判断しました。

国が推し進めるにあたってインセンティブを付与し、薬局にお薬手帳の発行をどんどん促しました。

(当然のことながら、国が認めて点数をつけなければ、薬局は無料でお薬手帳を渡すしかなく、勝手に料金を取ることは許されません)

そしてお薬手帳が広く普及したら、国はもういいだろうと薬局に与える点数をカットしました。

手帳を持ってくると高くなる時代から、手帳がないと高くなる時代へと、国は一気に政策を逆転させました。

このときは、「これで手帳を持ってきてくれる人も増えるし、手帳もさらに普及できる」と喜びを覚えたことは今も忘れませんん。

こういった経緯もあり、今や患者さんが何の薬を飲んでいるのか知ることは当たり前となりました。

お薬手帳の発行に先立って、薬局が配布していた【薬品情報提供文書:薬の説明書】の効果もあり、薬の名前をもはや隠す必要もなくなりました。

今では薬品名などが錠剤単位にまで印字されるようになっています。

(技術の進歩もありますが)

院内処方で起こっていたかもしれないこと

病院で薬をもらい完結することにどんなデメリットがあるかや、不正が可能かということを書いただけです
多くは倫理観の元そのようなことは行われていなかったと思いたいです。
昔を知る問屋さんの口からぽろっと漏れた情報ってやつです

もし、意識低い系医師がいたら次のように考えるのではないでしょうか

在庫処分

新薬に切り替えたほうが治療効果上がるけど、病院に古いのが残ると困るので、使い切ってからにしよう。

薬価差益

(薬の公定価格から、実際の仕入れ値を引いた額 粗利益に相当)

Aメーカーのほうがいい薬だけど、Bメーカーのほうが原価安く儲かるから、Bメーカーのものを使用する。

不要な処方

薬は使えば使うほどもうかるから多く使う。
効く薬を多く飲ませたら副作用の心配もあるのでビタミン剤のような毒にも薬にもならないものを抱き合わせておこう。

取り扱い在庫での妥協した処方

Cという薬の方がこの人には合ってるかもしれないが、その人のためだけにそれを仕入れると高くつくので、もともと在庫しているBという薬で代用しよう。

医療過誤の隠滅

むかし医院の事務をやっていた人から聞いた話。

事務員が間違った薬を出してしまったそうです。
そのことを医師に正直に報告をしました。

するとすごく怒られたけど、その後の対応に唖然としたらしい。

もし副作用が出たら、「この薬は合わなかったみたい」と言って薬を変えるから大丈夫だよ。つぎから気を付けてね。

その後患者さんには結果何もなかったので一安心だったそうです。

まあ、WIN-WINですけどね。

不正請求

患者さんに出した薬と、国保・社保に請求したレセプトが違ってもだれもチェックできない。

出してない薬を出したことにして保険に請求するケースもあったそうです。

(事務員とのトラブルなどで、内部告発があり監査が入って発覚ということも。金額が大きければ仕入伝票などを調べれられて発覚するようです)

院外処方の建前は、医師と薬剤師で処方のダブルチェックとか言われていますが、こういった状況を看過できなくなった国が医薬分業を推し進めたといっても過言ではありません。

現在、医師は処方箋にどれだけ薬を処方しようとも報酬は変わりません。
無駄な処方がされなくなることは、患者側からしたらメリットです。
でも、院内処方は違いました。薬を売れば売るほど利益が出ました。

普通に考えたらわかりますよね。
お店にお客さんが来たら、そのお客さんが買うものを店員が買うものを自由にコントロールできる状態なら、店は儲からないわけがない。
店は儲かるし、そんな絶大な権力を持っている店があったら、メーカーさんも100%店に頭上がりませんよね。どんなことがあっても気に入られて自分の商品を売ってもらおうと手を尽くすと思います。

このあたりのどろどろした話は、年配の医薬品の配送の人に聞いてみるといろいろ出てきたりします。
実は昔MRやってたとか、問屋の営業だったという人が第一線を退いて、余生は配送でのんびりと仕事していることが多いみたいです。

今の院内処方の病院はどうなのか?

では、いま院内処方している病院はだめなのか?

これは、昔と今とでは状況がちがうので、院内処方をもってダメというわけではありません。

いわゆる、薬の販売が薬局に移るのと並行して、「薬価の引き下げ」がどんどん行われています。院内処方で薬を不必要に出しても、病院は昔ほど利益が出ないようになっています。

昔は薬九層倍といわれて、利益が90%あったらしいです。

今は薬の利益は10%とか、そんなくらいです。

 

薬局はもうけすぎ?

余談ですが、薬局がもうけすぎといわれるので話を分かりやすくするため【商売】と割り切って考えてみます。

よく、調剤薬局の明細を確認して、薬代が2000円で技術料が2000円なんてぼろもうけとか言われています。
では
どこの世界に2000円で仕入れたものを2000円で売って成り立つ商売があるのだろうか。

一部薬価の安い医薬品が処方されればそれに対して技術料が高すぎるような感覚を与えてしまうのも事実です
しかし実際の調剤業界は、だいたい原価率が65%くらいといわれています。

  • ドラッグストア業界で原価率は75%くらい。
  • アパレルのショップなんかは原価率20%~30%くらいです。

薬局が普通の商売と異なる点は、薬を仕入れても、処方箋が来なければどれだけ頑張ってもその薬を売ることができないというリスクです。
実際ロスも多く発生します。

  1. 医師:新しい薬が出たから早速使ってみる
  2. 薬局:処方箋が来るので、新しくすりを仕入れる
  3. 患者:前の薬の方が良かった。
  4. 医師:今後新しい薬のほうは評判悪から止めよう
  5. 薬局:期限切れで処分

この構造に問題があるということではありません。
新しい薬が患者さんのメリットにつながることも多いので、医師が在庫を気にせず処方できる環境はむしろ良いことだと思います。

普通のお店だったら、残ったものは自分で使ったり、安くして処分したりできますが、医薬品はそういうわけにはいきません。

そんなリスクも背負っていることは、一般にはあまり知られていない。

 

話を戻します。

最後に

ここまでで院内処方で起こりうるデメリットをあげてきました。

これはあくまでも仕組み上の問題でこのようなデメリットが発生しうるということを述べたにすぎません。

端的にいえば、医師から薬を切り離して、自分で売り上げをコントロールできない薬局に管理させることが、医薬分業の表だって言えない裏の目的でした。

もし医薬分業が進まなかったら今の医療制度がどうなっていたかは誰もわかりません。

どれだけの薬が処方されていたかもわかりません。

調剤料よりも薬剤料の方が増えていたかもしれません。

院内処方の問題点が見えましたでしょうか?

最悪のケースを想定した場合、それでも院内処方がベストと言い切れますでしょうか。

今の制度に問題が無いわけではありません。

結論は国民が決めることです。

1人1人がよく考え、国民にとってより良い仕組みになるようにしていくことが求められると言えます。

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