ドラッグストアで、こんな相談を受けたことはありませんか?

👤「病院の薬をいろいろ飲んでいるんですが、咳が、痰が出るんです。この薬も飲めますか?」

……困りますよね。

薬の箱を見ると、

「してはいけないこと」がたくさん・・・。

「医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること」

とも書いてある。

だから相談された。

でも、

相談された登録販売者側も、どう判断したらいいのか分からない。

相談してくださいって書いてあるから相談されたんですけど……。
うん。で、相談されたこっちも困るという……。

新人登録販売者さんなら、

「怖いから、この薬はやめておきましょう」

となっても無理はありません。

そんな中で、比較的確認ポイントを整理しやすい去痰薬の一つが、

ストナ去たんカプセル

です。

ただし、

「相互作用が少ないから、何と一緒に飲んでも大丈夫」

という意味ではありません。

この記事では、

  • ストナ去たんカプセルの飲み合わせ
  • 病院の薬を飲んでいる場合の確認ポイント
  • 「してはいけない」と「相談すること」の違い
  • なぜ登録販売者にとって接客判断を組み立てやすいのか

を、実際の売り場をイメージしながら整理します。

ストナ去痰カプセルの飲み合わせは?

 

ストナ去たんカプセルは、

「病院の薬を飲んでいる=併用できない」

という薬ではありません。併用できることの方が多い薬です。

ただし、添付文書では服用中に、

「他の鎮咳去痰薬、かぜ薬」

を使用しないこととされています。

ここは「相談すること」ではなく、

「してはいけないこと」

です。

つまり、

👤「風邪薬を飲んでいるけど、痰が切れないからストナ去たんカプセルも追加していい?」

という場合に、

「成分が違うから大丈夫ですよ」

とは案内できません。

一方で、

👤「血圧の薬を飲んでいます」

👤「コレステロールの薬を飲んでいます」

などと言われたからといって、その情報だけで直ちに「ストナ去たんカプセルは使えません」と決まるわけでもありません。

何を飲んでいるのかを確認する。

ここからが「相談された側」の仕事です。

まず確認するのは2つの成分

ストナ去たんカプセルの成人1日量6カプセルには、次の2成分が配合されています。

成分1日量役割
L-カルボシステイン750mg気道粘液を調整する
ブロムヘキシン塩酸塩12mg痰を出しやすくする方向に働く

効能・効果は、

「たん、たんのからむせき」

です。

成分が2つだけなので、併用薬を確認するときも比較的整理しやすい。

まず、

「この2成分が他の薬にも入っていないか?」

を確認します。

ムコダインを飲んでいない?|L-カルボシステインの重複

病院の薬との重複で、まず覚えておきたいのが、

ムコダイン

です。

ムコダインの有効成分は、

L-カルボシステイン。

つまり、ストナ去たんカプセルと同じ成分です。

医療用ムコダインは通常、成人ではL-カルボシステインとして1回500mgを1日3回投与します。

ですから、お薬手帳を見て、

「ムコダイン」
「カルボシステイン」

があれば、

あ。同じ成分だ。

と気付けることが大切です。

商品名が違うと見逃しやすいので、ここは覚えておくと便利です。

ブロムヘキシンの重複も確認

もう一つが、

ブロムヘキシン塩酸塩

です。

こちらも医療用医薬品として使われている去痰成分です。

ストナ去たんカプセルには成人1日量として12mg配合されています。

したがって、併用薬を確認するときは、

L-カルボシステインだけ見て終わりではありません。

ブロムヘキシン製剤が処方されていないかも確認します。

登録販売者さんなら、

ムコダイン=L-カルボシステイン

ブロムヘキシン=もう一つの配合成分

この2つを頭に入れておくだけでも、ストナ去たんカプセルの併用確認がかなりしやすくなります。

「相互作用が少ない」と「何とでも併用できる」は違う

 

「ストナ去たんカプセルは薬物間相互作用が少ないから、併用薬が多い人にも使いやすい」

これは正確ではありません。あくまでもイメージでした。

L-カルボシステインの医療用電子添文には、特定の薬との「併用禁忌」「併用注意」は設定されていません。

しかし、OTCであるストナ去たんカプセルでは、

他の鎮咳去痰薬・かぜ薬を服用中に使用しない

というルールがあります。これは成分の重複を防ぐためです。

つまり、

「薬理学的な相互作用が少ない」

「OTCとして何とでも併用していい」

ではありません。

ここは分けて考えましょう。

仮に成分が重複していなくても、説明書に書かれている文言は守る必要があります。

それでもストナ去たんカプセルが接客しやすい理由

では、なぜ私はストナ去たんカプセルを新人登録販売者さんに覚えてほしいのでしょうか。

理由は、

「何とでも併用できるから」ではありません。

添付文書上の確認ポイントを比較的整理しやすいからです。

OTCの添付文書には、

「してはいけないこと」

と、

「相談すること」

があります。

この2つは意味が違います。

「してはいけない」に該当すれば、文字どおりその条件では使用しません。

そして、「してはいけない」項目が非常に少ない。

また、

「相談すること」=服用禁止

ではありません。

相談したうえで状況を確認し、服用可能と判断される場合もあります。

ここ、登録販売者としてはかなり重要です。

「相談すること」って、相談されたらどうするの?

でも「登録販売者に相談してください」って書いてあるから相談されたとして……何を聞けばいいの?
そこが一番困るんですよね。

現場では、

👤「心臓病があります」

👤「病院の薬を飲んでいます」

👤「妊娠しています」

と言われても、

その情報だけで「飲めます」「飲めません」と判断できないことがあります。

そして、分からなければ無理に販売する必要はありません。

薬剤師に確認する。

必要なら医療機関への相談を勧める。

新人登録販売者さんなら、それでいいと思います。

だからこそ、

「相談すること」がどれくらい複雑な薬なのか

というのは、実際の売り場では結構重要です。

ストナ去たんカプセルでは、相談項目を一つずつ確認していけば、接客の組み立てが比較的しやすくなっています。

医師の治療を受けている人|まず何の治療か確認

「病院の薬を飲んでいます」

だけでは判断できません。

まず、

何の病気で治療しているのか

何の薬を飲んでいるのか

を確認します。

お薬手帳があれば見せてもらいましょう。

ここで、

  • 他の鎮咳去痰薬
  • かぜ薬
  • L-カルボシステイン
  • ブロムヘキシン

などが見つかれば、重複や併用の問題を確認できます。

逆に、

「病院の薬を飲んでいる」というだけで一律に販売不可という意味ではありません。

分からなければ薬剤師へ。

これで十分です。

心臓病|「心臓病だからダメ」ではない

ストナ去たんカプセルでは、

心臓病と診断された人

は「相談すること」に該当します。

ここでも、

心臓病=服用禁止

ではありません。

まず、

  • どのような心臓病なのか
  • 現在治療中なのか
  • 心不全を指摘されていないか
  • どんな薬を服用しているのか

などを確認します。

そして、この「心臓病」が相談対象になっている背景を調べると、少し興味深いことが分かります。

ストナ去たんカプセルに含まれるL-カルボシステインの医療用製剤・ムコダインでは、「心障害のある患者」について、類薬で心不全患者に悪影響を及ぼしたとの報告を理由とした注意があります。

過去のインタビューフォーム等では、この背景として近縁のメチルシステイン製剤に関する報告が説明されています。

ただし、

L-カルボシステインを飲めば心不全が悪化する

という意味ではありません。

また、具体的な機序についても、今回確認した現行電子添文では明らかにされていません。

ですから、

👤「心臓病があります」

と言われたら、

「この薬は心臓に悪いので飲めません」

ではなく、

どんな心臓病なのか確認する。判断できなければ薬剤師や医師に確認する。

これが「相談すること」の意味です。

肝臓病|治療状況まで確認する

肝臓病も「相談すること」に該当します。

医療用L-カルボシステインでは、肝機能障害のある患者について肝機能が悪化することがあるとされています。

また、重大な副作用として肝機能障害・黄疸も記載されています。

したがって、

「昔、健康診断で肝臓の数値を指摘された」

のか、

「現在、肝疾患で治療を受けている」

のかでも状況は違います。

診断名や治療状況が分からない。

現在の肝機能について本人も分からない。

そんな場合に登録販売者が無理に判断する必要はありません。

薬剤師や医師へ確認する。

これも立派な相談対応です。

妊娠中|「相談すること」なので確認が必要

妊婦または妊娠していると思われる人も、ストナ去たんカプセルでは服用前の相談対象です。

ここも、

妊娠中=添付文書上の服用禁止

ではありません。

ただし、医療用L-カルボシステインでは、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましいとされています。

したがって、

「妊娠中でも去痰薬なら大丈夫」

と機械的に案内するのは避けます。

症状や受診状況などを確認し、自分で判断できない場合は薬剤師・医師へ確認します。

高齢者の場合は?

高齢者も相談対象です。

さらにストナ去たんカプセルの用法・用量では、8歳以上15歳未満は1回1カプセル、15歳以上は1回2カプセル、8歳未満は服用しないとされています。

高齢者の場合には、年齢だけを見るのではなく、

  • 持病
  • 併用薬
  • 現在の全身状態
  • 痰や咳がいつから続いているか

なども確認しておきたいところです。

特に長期間続く咳や痰を、

「とりあえず市販薬で」

と漫然と対応しないことも重要です。

ストナ去たんカプセルは「咳止め」ではない

ここも接客でよく間違いやすいところ。

効能・効果には、

「たん、たんのからむせき」

とあります。

でも、ストナ去たんカプセルに入っているのは、

L-カルボシステイン

ブロムヘキシン塩酸塩

です。

いわゆる鎮咳成分を配合して、咳反射そのものを抑えるタイプの薬ではありません。

ですから、

👤「咳が出るからこれください」

と言われたら、

「痰は絡んでいますか?」

と一言聞いてみる。

同じ「咳」でも、痰があるかどうかで違うんですね。
ここを聞くだけでも、かなり選びやすくなります。

ストナ去たんカプセルの副作用は?

添付文書には、皮膚症状、消化器症状、頭痛、血たんなどが記載されています。

また、まれに起こる重大な副作用として、

  • ショック(アナフィラキシー)
  • 皮膚粘膜眼症候群(SJS)
  • 中毒性表皮壊死融解症(TEN)
  • 肝機能障害

などが記載されています。

ここは、

「めったにないから気にしなくていい」

でも、

「怖い副作用がこんなにあります!」

でもありません。

添付文書に記載された症状が現れた場合には服用を中止し、医師・薬剤師などへ相談する。

必要以上に怖がらせず、必要な注意はきちんと伝えます。

新人登録販売者さんは「全部自分で判断」しなくていい

OTC販売を始めたばかりの頃は、

「相談すること」

という言葉が結構怖いです。

相談された以上、

自分が「飲んでいい」「ダメ」を決めないといけない

ような気がします。

でも、そんな必要はありません。

確認して、

自分で判断できるところは判断する。

分からなければ、

薬剤師に聞く。

必要なら、

医師への確認や受診につなげる。

それも含めて「相談対応」です。

ストナ去たんカプセルは、配合成分が2種類で、確認するポイントも比較的整理しやすい。

だから、

「何とでも併用できるから売りやすい薬」ではなく、
「確認すべきポイントを整理しやすいから接客しやすい薬」

と考えるとよいと思います。

まとめ|ストナ去たんカプセルは「確認しやすい」去痰薬

ストナ去たんカプセルの飲み合わせについて、

「相互作用が少ないから、だいたい何とでも飲める」

と覚えるのはやめましょう。

まず確認したいのは、

他の鎮咳去痰薬・かぜ薬を使用していないか。

そして病院の薬を飲んでいるなら、

ムコダイン・L-カルボシステインや、ブロムヘキシンなどが重複していないか。

さらに「相談すること」に該当する場合は、

相談=服用禁止

と考えるのではなく、

「何が問題になり得るのか?」

を一つずつ確認します。

そして分からなければ、薬剤師や医師へつなげればいい。

新人登録販売者さんにとって重要なのは、

何でも知っていることではなく、何を確認すればいいのかを知っていること。

ストナ去たんカプセルは、その練習にも使いやすい製品だと思います。