・プロモーションを含みます。
外来服薬支援料2の算定においては、薬剤師の適切なアセスメントと記録が求められます
本記事では、個別指導で指摘されやすいポイントを整理し、実務に役立つ情報を提供いたします。
個別指導でチェックされる対象は、レセプトの情報から選定されます。
そのため、必然的に何らかの【加算】が算定されている人が選ばれてきます。
今回は、個別指導でほぼ選ばれる【外来服薬支援料2】算定患者さんの対応についてです。
個別指導では一包化が必要かどうか、薬剤師がアセスメントして、その結果を記録に残しているかどうかが問われます。
一包化は、
- 多剤服用患者さんの薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること
- 心身の特性により錠剤等をPTPから取り出せない患者さんに配慮
が目的です。
一包化したことによりアドヒアランスが改善しているかどうかが重要です。
では、具体的にどのような薬歴が必要なのか解説します。
外来服薬支援料2の算定要件を再確認

1. 対象となる患者
以下のいずれかに該当する患者が対象となります:
多剤服用患者:複数の薬剤を服用しており、服薬管理が困難な患者。
服薬困難な患者:心身の特性により、錠剤等の取り扱いや服用が困難な患者(例:認知症、リウマチ等)。
2. 一包化の要件
以下のいずれかの条件を満たす一包化を行う必要があります
2剤以上の内服用固形剤:異なる服用時点の薬剤を一包化する場合。
1剤で3種類以上の内服用固形剤:同一の服用時点に3種類以上の薬剤を一包化する場合。
※服用時点ごとの一包化が求められます。
3. 医師の指示または同意
一包化を行う際には、処方医からの指示または同意を得る必要があります。疑義照会等を通じて、医師の了解を得た上で実施してください。
4. 服薬指導および管理の実施
一包化に加えて、適切な服薬指導や服薬管理を行うことが求められます。患者の服薬状況を把握し、必要に応じて医師への情報提供を行うことが望ましいです。
5. 記録の整備
算定に際しては、以下の事項を薬歴やレセプトに記録する必要があります
一包化の理由
服薬支援の内容
患者の服薬状況や反応
一包化加算と外来服薬支援料2の主な違い
ここで、以前の一包化加算とに違いをおさらいします。
項目 | 一包化加算(旧制度) | 外来服薬支援料2(現行制度) |
---|---|---|
制度区分 | 調剤技術料の加算 | 薬学管理料 |
評価対象 | 一包化という対物業務 | 一包化を含む服薬支援という対人業務 |
算定要件 | – 服用時点が異なる2種類以上の内服用固形剤- または1剤で3種類以上の内服用固形剤を一包化- 医師の指示または同意を得る | – 左記と同様の一包化に加え、- 必要な服薬指導・管理を実施 |
点数 | – 42日分以下:7日ごとに34点加算- 43日分以上:240点 | 同左 |
記録要件 | 一包化の理由や医師の了解を調剤録等に記載 | 一包化の理由、服薬支援の内容、患者の服薬状況や反応を薬歴やレセプトに記載 |
併算定制限 | 自家製剤加算、計量混合調剤加算との併算定不可 | 自家製剤加算、計量混合調剤加算との併算定不可 |
制度の背景 | 一包化を対物業務として評価 | 一包化を含む服薬支援を対人業務として評価し、患者中心の支援を強化 |
個別指導に当たった人で、基本的な算定要件を満たさない一包化が無いか念のためチェックしましょう。
2. 一包化の要件
以下のいずれかの条件を満たす一包化を行う必要があります
2剤以上の内服用固形剤:異なる服用時点の薬剤を一包化する場合。
1剤で3種類以上の内服用固形剤:同一の服用時点に3種類以上の薬剤を一包化する場合。
※服用時点ごとの一包化が求められます。
もし誤りが判明した場合は、至急レセプトの取り下げを行うことは言うまでもありません。
外来服薬支援料2の個別指導でのポイント
この中で、
1. 対象となる患者
以下のいずれかに該当する患者が対象となります:
多剤服用患者:複数の薬剤を服用しており、服薬管理が困難な患者。
- 服薬困難な患者:心身の特性により、錠剤等の取り扱いや服用が困難な患者(例:認知症、リウマチ等)。
4. 服薬指導および管理の実施
一包化に加えて、適切な服薬指導や服薬管理を行うことが求められます。患者の服薬状況を把握し、必要に応じて医師への情報提供を行うことが望ましいです。
5. 記録の整備
算定に際しては、以下の事項を薬歴やレセプトに記録する必要があります
一包化の理由
服薬支援の内容
患者の服薬状況や反応
上記を再確認します。
一包化は、
多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる
- 薬剤の飲み忘れ防止
- 飲み誤り防止
が目的です。
多種類処方されていて、飲み忘れがある、飲み間違いがあること
又は
心身の特性により錠剤等をPTPから取り出して服用することが困難な患者さんに、治療上の必要性が認められる場合
「心(認知症とか)身(リウマチで手が動かない)の問題があること」
認知症やリウマチなどで服薬が困難なこと
この2点が重要
医師の了解を得た上で行うものであることはいうまでもありません。
個別指導ではこの部分が重点的にチェックされます。
外来服薬支援料2の患者さんが個別指導に当たった場合は、
- 飲み忘れ
- 飲み誤り
- 心身の特性
- 医師の了解
この条件を満たしていることが分かる薬歴、表書きになっているかチェックが必要です。
外来服薬支援料2、薬剤師のアセスメントや服薬フォローが必要

かつての一包化加算と比較し、外来服薬支援料2では、アセスメントや服薬フォローが加わったことに注意が必要です。
そのため、個別指導において薬歴のチェックで、アセスメントや服薬フォローについて記載がない場合は、指導の対象になります。
個別指導において外来服薬支援料2で返還になるケース①
- 患者さんに頼まれ、利便性に配慮し一包化
- 医師の指示があるという理由だけの一包化
「医師の指示があるからです。」
だけだと、おそらく指導の対象、返還になります。
個別指導において外来服薬支援料2で返還になるケース②
せっかく、一包化の必要性を判断して、一包化の指示をもらい一包化しても、薬歴が不十分だと返還になる可能性があります。
先ほどの、外来服薬支援料2の算定要件の4と5を再確認します。
4. 服薬指導および管理の実施
一包化に加えて、適切な服薬指導や服薬管理を行うことが求められます。患者の服薬状況を把握し、必要に応じて医師への情報提供を行うことが望ましいです。
5. 記録の整備
算定に際しては、以下の事項を薬歴やレセプトに記録する必要があります
一包化の理由
服薬支援の内容
患者の服薬状況や反応
- 一包化した結果、アドヒアランスが改善したかどうかの記録がない
- 定期的に、一包化の継続が必要かアセスメントした記録がない
- 一包化後の服薬フォローの記録や、もしくはフォローの必要性を判断した薬歴がない
そして、一包化した患者さん全員についてフォローしなくても大丈夫です。
全員が全員、電話確認のフォローが必要な患者さんではありません。
- 投薬時の受け答えで、一包化すれば問題なく服薬できると判断、電話フォローは不要
- 再来にて、一包化でアドヒアランスが確認できているので電話フォロー不要
などと薬歴のA(アセスメント)に記載しておきます。
薬剤師的には不要でも、一包化せざるを得ないケース

患者さん:薬が多くて面倒なんだよね。ひとまとめにパックしてもらえる?
このケースで、なおかつ、医師の一包化指示があった場合はそのまま一包化していることもあるかもしれません。
そんな時は、次の項目を参考にしてください
不要な一包化かどうかは薬剤師が判断する必要があります。
- 患者さんは面倒だから一包化してもらっている
- 患者さんは一包化してもらって便利になっている
そんなケースであっても、立ち止まって考えてみましょう。
もし、残薬が発生していたようでは、十分な治療効果がでているとは言えません。
過去薬歴に、「飲み忘れた」「飲み間違えた」などの記録があれば、コンプライアンスは不十分です。
一包化をする必要があったと考えることができます。
これらの記述を薬歴に入れましょう。
薬歴に、一包化なしでは飲み間違い、飲み忘れが発生していたことや、その可能性が疑われる事案が発生したことを入れておきましょう。
その後、一包化でアドヒアランスを定期的に確認して日付を記載しておくとよい。
薬歴の注意事項

薬歴と表書きの注意事項
SOAP薬歴には、
S)
- 〇〇錠を飲み忘れてしまうことがある。
- 2錠飲まなきゃいけない〇〇錠を、時々1錠しか飲んでいないことがあったかもしれない。
- 〇〇錠がいつも余る。
- 朝と夜で飲み間違えてしまうことがある。
などなど、飲み忘れ、飲み誤りの実例を聞き出し記録する。
A)
- 飲み忘れ、飲み誤りが発生し治療に支障
- 一包化にてアドヒアランス改善を図る必要がある
などと、薬剤師のアセスメントを記録しましょう。
そして、今回一包化した経緯を表書きへ転機しましょう。
このようにして初回一包化をします。
途中電話フォローをしない場合は、しなくても良いと判断した理由なども書きます。
2回目以降は、SOAP薬歴にて、
S)
- 一包化してもらい、のみわすれがなくなった。数値もよくなっている
など、改善事例を聞き出して記録する。
A)
- 一包化によりアドヒアランス向上 当面一包化が必要であると判断できる。
などと、薬剤師のアセスメントを記入しましょう。
表書きには、一包化にてアドヒアランスが改善された成果を転記しましょう。
その後、数回に1回、アドヒアランスが改善していることを確認しSOAPに記載するとともに表書きへも記載していきましょう。
だれもが一目で分かる状態になっていない薬歴は、減点対象?です
定期的に、一包化解除を検討したことも薬歴、表書きに残すとよい。
(解除を検討したが、やはり継続が必要だったとアセスメントした内容を記入)
無駄な一包化を漫然と行っていないことをアピールしましょう。
薬剤師としてアセスメントし、一包化不要な患者さんは一包化をしない提案をしよう
でも、負担金が安くなることを伝えれば、一包化を辞めようと考える患者さんもいます。
個別指導において外来服薬支援料2がチェックされるのは、保健医療財政を改善するために不要な加算が算定されていないかチェックすることが目的です。
薬剤師としても、不要な医療費は削減するよう取り組む必要があります。
患者さんによっては
とか、
という理由で一包化になっているケースがあります。
なんとなく一包化されていた場合は、疑義照会して医師に一包化指示取り消しを依頼しましょう。
負担金が安くなったって、患者さんから喜ばれます。
面倒くさがりには、丁寧に説明して一包化を中止するように取り組んでいくしかないでしょう。
ただ、【外来服薬支援料2】算定はNGなのは言うまでもありません。
薬局によっては、【自費】で一包化にするところもあるようです。
今回は個別指導対策での外来服薬支援料2について解説しました。
外来服薬支援料2を算定している患者さんについては、薬剤師による必要性のアセスメントと服薬フォロー、薬歴、表書きへの記録がポイントですので、よろしければご参考にしてください。
思わぬ指導の対象として、一包化NGの薬剤を一包化していたことを突っ込まれるケースがあります。
一包化NGのものを一包化から抜いたら、算定要件が外れてしまう場合などに指摘されやすい傾向にあります。
これはレセプトで事前に指導官が確認できますので、個別指導該当患者は要チェックです。
外来服薬支援料2になってからの注意点
従来「一包化加算」として調剤料(現:薬剤調製料)に含まれていた一包化業務は、2022年度の調剤報酬改定において、その性質を対人業務と再評価され、「外来服薬支援料2」という新たな薬学管理料として独立した点数体系に移行しました。
この改定以前は、一包化は機械的な調剤操作、すなわち対物業務の一環とみなされており、患者対応の内容や意義は点数上では反映されていませんでした。
しかし、実際の現場では、一包化は単に薬をまとめて渡す行為ではなく、患者の服薬状況を丁寧に聴取し、飲み間違いや服薬中断のリスクを低減させ、服薬アドヒアランスを向上させる重要な支援行為として行われています。
こうした背景から、一包化の本質的な価値が改めて認識され、薬剤師の対人支援業務として明確に評価されるようになったのです。
そのため、個別指導の場では「一包化加算」という表現は不適切とされます。
依然として対物業務として認識しているのではないかという疑念を招き、算定根拠や管理体制への厳しい指摘につながりかねません。
もし一包化について聞かれたら、薬学管理料に含まれる対人業務であることを理解している旨を、はっきりと伝えましょう。