転職体験

薬剤師の労働環境 医療従事者だからと休憩を搾取されてませんか?

ランチ

 

休憩時間であっても、薬局の開局時間開であれば処方箋対応をする義務があります。

では、薬剤師の休憩はどうなるのか?

 

これはとくに、薬剤師が1名の薬局に起こりがちな問題です。

今回は、休憩時間の労働基準法違反ケースについてまとめてみました。

 

「カップラーメンにお湯を注ぐと患者さんが来る」

定番ネタですが、本当にそれでいいんでしょうか?

 

 

薬剤師が労働環境で搾取されているケース

法律

とある薬局の例

薬局の開局時間は、8:30~17:30

途中休憩による閉局時間なし

途中1時間くらい処方箋は来ないので、そこで休憩となる

人員:薬剤師1名体制+事務員1名

薬剤師と事務員で1時間ずつずらして休憩を取得する

もし休憩中に処方箋が来た場合は応需する必要がある

休憩時間中に処方箋対応した場合は、その分、別で休憩時間を取っていいことになっている。

 

これは明らかな【労働基準法違反】です。

 

 

では、何が問題なのか見てみましょう。

 

まずは、厚生労働省のQ&Aを見てみましょう

Q 私の職場では、昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2~3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか? 

  A まず“休憩時間”について説明します。休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、待機時間等のいわゆる手待時間は休憩に含まれません。

  ご質問にある昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。従って、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。

(厚生労働省HP

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken02/jikan.html

 

厚生労働省のHPからもわかるように、休憩時間とは、「労働時間の途中に、労働から離れる権利」が保障されている必要があります。

 

休憩をしている時間は労働から離れているとされるので、賃金は払われていません。

 

休憩時間に処方箋対応をする必要があれば、それは休憩時間ではない。

書いていて、あまりにも当たり前すぎることに気づきました

 

  • 一人薬剤師の薬局で、休憩中でも処方箋が来たら対応しなければならない。
  • もしくは、休憩であっても時々手伝わなくては回らないくらい忙しい。

という場合は、労働から離れているとはいえず、勤務とみなされます。

 

休憩時間ではなく労働時間となるため、賃金支払いが必要になります。

 

 

でも、その分残業時間として給与を支払えばいいのかな?

というと、

「休めなかった時間の時給を払えばいい」という訳にもいきません。

なぜなら、

働く時間に応じて、取得しなければいけない休憩時間も労働基準法で定められているからです。

 

休憩時間がとれないなら、その分賃金を払えばいいというわけではない

 

雇用主は、労働者に休憩時間をどれぐらい与える必要があるのか?

労働時間:6時間以下休憩は不要
労働時間:6時間~超8時間以下45分以上
労働時間:8時間超1時間 以上

 

会社は、この休憩時間を必ず取得させなければなりません。

もし労働時間が6時間以内であれば、休憩時間は与えなくても法律には違反しません。

仮に、6時間勤務であっても1時間の休憩を与えることは問題ありません。
(多い分にはOK)

いくら、雇われ薬剤師が「休憩が取れない分は残業扱いにしてほしい」といって、会社と双方で合意しても、違法ということになります。

休憩が取れない分を賃金にて支払うことを合法にしちゃうと、

「うちは、基本給に休憩時間を含んでいません」

という風に悪用されかねませんからね。

歪曲した解釈の原因となる規定(そもそも理解不足)

「休憩中に処方箋を受け付けて、終わってからその分休憩をとらせれば問題ない。」ということは間違っています。

しかし、次のような規定があるため、それを歪曲して解釈される例があります。

休憩時間は分割して与えてもよい

「60分の連続した休憩が無理な場合は、20分ずつ3回などと分割して取得させてもよい」ということになっています。

これは正直嫌ですよね。

でも、法的にはOKなので受け入れざるを得ません。

しかしながら、あまりにも小刻みな休憩は望ましくないという法解釈があります。
(ここは、はっきり何分割までと決めてほしいものだが・・・)

 

するとどうだろう。

こんなこと、ないですか?

  • 12時から休憩に入る
  • 12:30に処方箋が来たため30分患者対応する
  • 13:00から、追加で30分休憩する

 

 

 

ほら、2分割で1時間取れているから、違反じゃないんだよ

 

それ、違反です。

なぜなら、

 

休憩時間中は、労働から離れることが保障されていなければならないからです。

分割して取得した場合も、それぞれ労働から離れている必要があります。

処方箋が来た場合に備えて休んでいる場合は、休憩時間とはみなされません。

そもそも、途中閉局なしの薬局で1人薬剤師は成立しない

 休憩時間とは、「労働から離れることを保障された時間」です。

そのため、休憩時間中にも開局している薬局は、薬剤師が労働から離れることが保障されないため、法律に違反していることになります。

  • 完全に薬局を閉めて、患者さんが入れないようにする
  • 電話が来ても応対しなくていい
  • 当然、用事で外出することも許される

このような状態でなければ休憩時間にはなりません。

 

休憩中にも処方箋対応や電話対応をしなければならない。

そんな状態であれば、そのほかの時間に休憩時間を確保させる義務が会社にはあります。

 

また、休憩時間は労働時間の間に与えなければならなりません。

開局時間前と、閉局後の「最初と最後30分ずつ」というのも、認められません。

つまり、どうやっても一人薬剤師で途中閉局なく薬局を開けるのは不可能ということです。
(6時間以内の労働時間でピッタリ閉まる薬局だったら、休憩なしで、できるかもしれませんが・・・)

保健所の届け出上は途中休憩による閉局なしで、薬剤師が1名のみの場合は、どうやっても労働基準法を守ることができないので明らかに違法です。

これは、保健所と労基署で監督官庁が別だから野放しになってる、【縦割り行政】そのものです。

あとから違法就労を立証することもできるかもしれません。

労働基準監督署や法律事務所に相談すれば解決できるかもしれません。

 

例外として、経営者が自分だけでやる分には休憩時間もなしでもいいので、ご自由にどうぞとなっています。

そもそも労働者じゃないので当然です。

 

薬剤師以上に、調剤事務さんも搾取される可能性がある

年収低すぎ

さらに搾取される危険性がある、調剤事務員さんです。

先ほどの労働基準法は、薬剤師に限ったものではなく全労働者が対象です。

薬剤師の場合は、処方箋受付に就業してることが不可欠です。

薬剤師不在で処方箋調剤は成り立ちませんので、途中休憩で閉めていない場合、開局時間との矛盾が生じます。

一方、調剤事務員さんは、不在でも薬剤師がいれば処方箋の受付自体には問題がありません。

しかしながら、「薬剤師がレセコンを使えない」とかの問題があれば、応対せざるを得ません。

でも、この場合は、「薬剤師がすべての業務をやって、調剤事務員には休憩を取得させていた」と会社にいわれてしまえば、後で立証することは難しくなります。

レセコンに入力者の名前が印字されるようであれば薬歴に反映される場合があります。
後々薬歴をもとに証明できるかもしれません。

実際の勤務状況を記録に残しておけば、後からの検索は容易になります。

最後に

 

まとめます。

休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、

休憩時間中の処方箋対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。

休憩中でも処方箋対応をしなければならない薬局の場合は、たとえ1枚も処方箋が来なくても待機している必要があります。

その時間は勤務時間となるため、会社は別途休憩を与えなければなりません。

別途与える休憩も、労働者が完全に労働から離れることができる必要があります。

休憩時間だけ別の薬剤師が入ることができればいいですが、現実的ではありません。

一人薬剤師で途中閉局しない薬局は、労働基準法上成り立たないことになります。

 

いつ処方箋が来るかもしれない状態で、ひと時も気を抜けない状態は精神衛生上よくありません。

たとえ本人が負担に感じていなくても、確実に精神を蝕みます。

これは、コップに水を入れて持ち上げることの例えが、たとえどんな簡単な仕事でも休憩なしで仕事をすることにどれだけストレスがかかるかをよく説明してくれます。

コップに水をいれて、持ち上げることは簡単です。

でも、そのコップを何時間もずっと持ち上げていなければならない状況であれば、非常に苦痛であるということと同じです。

 

だから、労働基準法でもその時間賃金を払えばいいというわけではなく、100%仕事から離れて休憩を与えるよう義務付けているのです。

知らず知らずに心にダメージを受けないように、そのような労働環境の薬局には十分注意しましょう。

当サイトにコンテンツを掲載するにあたって、その内容、機能等について細心の注意を払っておりますが、コンテンツの内容が正確であるかどうか、最新のものであるかどうか、安全なものであるか等について保証をするものではなく、何らの責任を負うものではありません。また、サイト管理者は、通知することなく当サイトに掲載した情報の訂正、修正、追加、中断、削除等をいつでも行うことができるものとします。
また、当サイト、またはコンテンツのご利用により、万一、ご利用者様に何らかの不都合や損害が発生したとしても、当方は何らの責任を負うものではありません。

戻る